36,洗礼再び ページ37
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サッカー日本代表として、売られたサッカーの喧嘩を買わないわけには行かず──ということで引き受けた、「無敵ヶ原富士丸」と名乗る謎の少年との勝負。
彼が口にした「再起不能」という物騒なワードの通り、無敵ヶ原富士丸が仕掛けてきたのは、試合であれば即刻ファウルを取られてもおかしくないラフなプレイばかりだった。
「ちゃんとサッカーで勝負しろ!」
正々堂々とぶつかるサッカーをこよなく愛する明日人がたまらずに叫ぶ。しかし無敵ヶ原はわざとらしく肩をすくめて嘲るように言った。
「おいおい……5対1なんだからさあ、少しくらいはいいでしょ」
「確かに……ラフプレイを差し引いても、1人で俺達5人と渡り合ってるのは尋常じゃない」
「ああ……コイツの実力は本物だ」
──氷浦とタツヤが渋々納得する通り、無敵ヶ原のサッカーの腕前は、はっきり言って彼ら代表5人の遥か上を行っていた。
言葉を選ばず言っていいのならばボロ負け状態、激しいラフプレイでこちらが消耗しているということを抜きにしても実力差は明らかだ。
「まだまだこれからだよ? 言っただろ? 再起不能にするって……」
そう言うなり、無敵ヶ原は5人を見る間に薙ぎ倒していく。なす術もないとはまさにこのことだろう。
粘る明日人も遂に膝をついてしまった。
「何だ、コイツ……!」
思わず地面にへたり込む代表メンバー達の息は荒い。
対する無敵ヶ原は汗一滴かかず、姿を現した時と何ら変わりのない涼しい表情のままだ。
「さあて……」
とどめだ──と言わんばかりに、無敵ヶ原の目が怪しくギラついたその時。
「あっ、いたっ! みんなーっ!!」
「A!!」
手を振りながらこちらに駆けてくる少女に、その場の全員の注目が集まる。間一髪の超ナイスタイミングだ。
危ないから一旦宿舎に戻れ、とみなが口を揃えようとした矢先、意外にも無敵ヶ原はAの登場によりあっさりと引き下がった。
「ん……邪魔が入ったか。今日はこの辺で勘弁してやる。命拾いしたな!」
悪役の王道を行く捨て台詞を吐きながら、無敵ヶ原はひょいひょいと足取り軽く夜の闇の中へ消えていった。
その後ろ姿を、5人は何とも言えない面持ちで見送る。後を追ってみたい気持ちもあるが、万全の状態でも彼の速度に追いつけるかどうか怪しいと言うのに、満身創痍の今の状態ではとても無理な話だ。
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ヒメアミ(プロフ) - 尊都さん» ほ、本当だ……!(↑)が1文字分ずれてました……!!すみませんすぐに訂正します🙇♀️ご指摘コメほんとに助かります、ありがとうございます!!✨ (10月17日 14時) (レス) id: a3a881f0ea (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ひややっこさん» ほ、ほんとですかめっちゃ嬉しいです……!!!!!!🥹💓私もはずみんと同じ空間に存在したい人生でした…………応援ありがとうございます!これからも引き続き頑張ります!!🔥💪🏻 (10月17日 14時) (レス) id: a3a881f0ea (このIDを非表示/違反報告)
尊都(プロフ) - 33話のアッキーに訂正するはずみちゃんのイントネーション設定と違くないでしょうか? (10月17日 0時) (レス) @page34 id: 6a52012404 (このIDを非表示/違反報告)
ひややっこ(プロフ) - めっちゃ面白いしはずみんちゃんがめっちゃかわいいです!!!!!皆の気持ち分かる…これからも応援させてもらいます!!📣 (10月16日 23時) (レス) id: 38a6d254ff (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - みい・フローラさん» コメントありがとうございます!! う、嬉しすぎる〜〜……!😭これからも楽しんでいただけるよう頑張っていきます!💪 (10月10日 22時) (レス) id: a3a881f0ea (このIDを非表示/違反報告)
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