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『くそっ……』
打てない、打てなさ過ぎる
ココ最近はヒットが1本だけ
ピッチャーとしてもうまくいかない……
『はぁ……』
京セラドームで1人になりたくてさ迷った末、プルペンに落ち着いた
オリックスとの二戦目の今日、僕はなんとショートでのスタメンとなっている
ショートとかすごく久しぶりだからとっても不安
「Aさん」
『直也くん……』
僕のため息ばかりが響いていたプルペンに新しい声
その正体は直也くんだった
「さっきAさんがプルペンに入るの見たって教えて貰って……」
『僕探されてる?』
「個人的に探してました」
『直也くんが?』
「はい、もしよければ投球練習を見て頂けませんか?」
『……僕でいいの?』
正直、今の僕からは何も言ってあげることができない
こんなにもできてないんだから
「Aさんじゃなきゃ嫌です」
「僕、ファイターズに指名された時、すごく嬉しかったんです」
「ずっとファンだった、あの岸咲Aさんと野球ができる、って」
「去年、Aさんがピッチャーも兼任するって知った時、実はすごく焦ったんです」
「あの強肩でコントロールがいいAさんがピッチャーやったら、自分の居場所がなくなるって」
「だから、Aさんなら大丈夫です」
『直也くん……』
直也くんの言葉一つ一つが体全体に染み渡る
「一緒に頑張りましょ!!」
『……うんっ』
う゛ぅ……涙出てきちゃったや
嬉しくて、嬉しくてたまんない
でも泣き顔は見られたくないから、直也くんに抱きついて隠す
「Aさん!?」
『直也くんが嬉しいこと言ってくれるからぁ』
「あ、えっと、ごめんなさい、?」
『んふふ…………ありがと、直也くん』
直也くんはそっと頭を撫でてくれた
ぎこちないけど、とっても気持ちいい
『あ!』
「どうしたんですか?」
『直也くん、お誕生日おめでとう!!』
「ありがとうございます!!」
『ロッカーにプレゼントあるからあとで渡すね』
直也くんに用意したのはマイメロちゃんのタオル、に見せかけての練習用のTシャツ
メーカーさんに特別に作ってもらって、青地に袖のところに【51 Naoya.I】って入れてもらった
気に入ってもらえるといいなぁ
「ありがとうございます!楽しみだなぁ」
『あっ!集合時間!!』
気づけば集合時間がせまっていた
やばい!!
直也くん、僕のせいでごめんね!
練習はまた明日にしようね
end
遅くなりましたがHappy Birthday!
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三做村匡(プロフ) - 続きが……続きが気になる…… (2022年10月10日 13時) (レス) @page23 id: 20406f05c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆづき | 作成日時:2017年6月19日 22時