02. 混沌 ページ3
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そして又、暫くの沈黙。
「に…兄様っ、気をしっかり。
ナオミがついてますわ」
その妹──
ナオミ
そう云ってナオミが谷崎に抱き付く。
「おい、何とか云ったら如何だ、新人？
お前は入社試験を通過した。
即ち 目の前にいる谷崎と、
隣に居るAは今日から先輩だ。
これから一生無言で睨んで過ごす訳にもいかんだろうが」
そう云う国木田に、又無言で視線を向ける芥川。
〈如何しましょう、
国木田さん、この新人 絶対怒ってますよ。
何しろ昨日爆弾と人質で脅しましたから……
ボク達、今から殺されるンじゃないでしょうね〉
〈莫迦を云うな。
人質も爆弾も凡ては演技だ。
入社の為に必要な試験だ。
しかも試験は無事合格。
第一だな、若しここで新人が敵対しようとも
こちらは歴戦の探偵社員が三人。
遅れを取るなど有り得ん話だ。
まあそれに、
怒りを向けられているのは谷崎、
お前であって俺ではないし〉
〈あっ国木田さん、今 他人事みたいな顔しましたね？〉
谷崎と国木田が目と目で会話をしていた。
芥川の隣にはAが、優雅に
カオスな光景だ。
「──許せぬ」
そしてやっと、芥川が口を開く。
谷崎と国木田が肩を少し震わせる。
「そこなる人質役の少女は
貴君の実妹とか」
「え？ あぁ、うん。
妹のナオミです」
「妹は大事にすべきだ」
そう云ってお冷に口を付ける芥川。
谷崎はポカンとする。
『じゃあ、ひょっとして
谷崎君が人質役のナオミちゃんを粗雑に扱ってたから、
機嫌が悪かったの？』
今迄ずっと黙っていたAが芥川に問い掛ける。
芥川は目を瞑って頷く。
「そうなんですの？
でしたら心配には及びませんわ、新人さん。
こんなに仲良しですもの。
人質役も兄様に脅されたい
自分から志願した程で」
『今日も仲良しでいいねぇ〜』
「おい」
ナオミが谷崎に覆い被さる。
「そうか、ならば重畳。
『あっ女給さーん！
「
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続く
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作者名：甕調悠亜 | 作成日時：2023年10月29日 3時
