ぴかぴか苺ミルクガール ページ5
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なんだかんだ言いつつ私も夕食を完食しきれなかった。二つ並べられたベッドにそれぞれ向かい合い腰をかけて苦笑いをする。男女で違う食事を用意させるのは手間だし男子に合わせているからなのだろうけど、二人して食べきれないご飯を男子に任せるはめになってしまったのだ。成長期の男子は頼もしくラッキーとか言いながら食べてくれたけど情けない。
「こういうところの料理ってたくさんですよね……」
「うん……苦しいね」
しばらくは満足に動けないだろうな。食べてから横になると牛になるどうこう思い浮かんだがそれでも苦しくて横になった。寝転んだ途端今日一日の疲れがどっと出たようで脚の筋肉痛がひどいことに気がついた。薄目を開ければ向かい側のベッドで同じように寝転ぶ桜乃ちゃんと目が合う。
なぜだか分からないけど目が合って笑いがこぼれてしまって、ふふふって笑ううち変なツボにはまりしばらく意味も分からず二人しえ笑い続けてしまった。筋肉痛で腕が痛いとか牛になっちゃうとか疲れたねえとか話してるうち、突然扉にノックがされる。
「はーい」
すぐに立ち上がるのが億劫でとりあえず返事をするが特に返答はない。それどころかノックの音は止まないばかりだ。誰なのか尋ねても声は返ってこず楽しかった雰囲気がしらけてしまった。渋々歩きだしたというのに依然ノックは鳴り続けている。やかましいんだから。
「しつこいんだけ、ど……」
……扉を開けて見れば誰も居らず、他の部屋のざわめきが僅かに漏れだしているだけ。さっき話してた悪戯なのかな? 女子の部屋にまで仕掛けてくるなんて随分趣味が悪いんだから。けれどなんだか嫌な感じがして、消化が進んだらしく幾分か楽になった体を動かし桜乃ちゃんと部屋の外に出た。今は八時だから就寝までは二時間くらいある。それまでロビーにでもいよう。
桜乃ちゃんを誘い薄いスリッパを履いて廊下を歩くと、知らない男の子と鉢合わせになってしまった。多分青学の人たち。無視するのは気が引けて軽く会釈をする。皆練習が終わる頃にはジャージを脱いでいたし今は全員Tシャツなんかの簡素な格好だ。大丈夫。あれは洗濯にまわされてるんだから。
なんだか急いだような早足になってしまって嫌な気持ちになった。こんなの病気だ。Tシャツを着たあの人たちがジャージを着ているように見えたなんて。そんな気持ちを隠すように売店コーナーを二人で回って、眠りにつく。
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小麦(プロフ) - 赤兎リエ輔さん» リエ輔さん〜! わざわざこちらの作品にまでありがとうございます! そう言われるとめちゃめちゃ嬉しいです照れちゃいますねウフフ…// まったりですが頑張るのでよろしくお願いいたします〜 (2019年7月28日 16時) (レス) id: c875d84994 (このIDを非表示/違反報告)
赤兎リエ輔(プロフ) - 新作おめでとうございます、!おむぎさんの書かれるお話はやっぱり他の誰にもない独特で引き込まれるような感じで本当に言葉にあらわすことができないくらい好きです…。これからの展開が楽しみです。応援してます(*´ω`) (2019年7月26日 17時) (レス) id: 9a5c590feb (このIDを非表示/違反報告)
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