+２０５+獣は皮を被り ページ10
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私が一瞬視線を投げた先
開けた現地を取り囲む木々の隙間から姿を現した男性。
男性を一瞥してから正面下に佇む赤ん坊くんに問う
『…ご友人ですか？』
あかるく私の警戒すらも吹き飛ばさんばかりの笑みは
一見呑気という言葉そのものであったが
警戒しているからこそ感知できたのか、その先に潜んでいる獣のような隙のなさ。
この一定の距離を保った状態と、男の風格から分かるのは
私が今けしかけたところで多少検討出来たところで敗北は既に決していること。
男性に敵意がないことからその人に声をかけるよりも
比較的話慣れている、かつ私の中でこの状況の主犯を推測される彼に声をかけた。
といっても、癖なのか男性の風格がそうさせるのか。
赤ん坊くんに問いただしながらも私は依然として鉄扇を握る手を下せずにいた。
私の警戒が全て解消されるか否かは仲介である赤ん坊くんの言動に託された。
「あぁ、お前もよく知った奴の身内だ。」
「いやぁ、聞いていた以上の身のこなしと素質だな。リボーン。」
おっちゃん驚いちまったよ。とケラケラと笑い飛ばす男性は
私との距離を縮めて、赤ん坊くんの傍でその足を止めると私と向き合う。
卑しいものではないと分かっているが…それにしても
私を観察するように視線を巡らせる様は気持ちのいいものではなかった。
男性はその視線を横へスライドさせて老師を見やると
礼儀なのか、一度その頭に装備された工事現場で着用しそうなヘルメットを外し
気さくな笑みをたたえたまま老師に向かって口を開いた。
「アルコバレーノ・風…今回は突然の申し出応えてくれたこと、感謝する。」
その気さくな人柄も曇らせることはなく
それでいて深くはなくとも腰を折り、老師に向かって礼をする。
表向きだけの印象で失礼だとはわかっていても
先程までの雰囲気からは想像もつかない真摯で礼儀礼節をわきまえた姿に
顔には出さないように徹したが心の中ではぎょっとした。
幾度か瞬きを重ねている間に、老師は笑みを浮かべ応えた。
風「そうかしこまらなくても構いませんよ。
貴方の妻子に愛弟子もお世話になっていますし…なにより」
言葉の先を紡ぐよりも先に老師は私の方に視線を向けた。
視線に気づき、私も彼の方に視線を向ければ「それ」らは直線状に交わった。
もとより温厚と言える彼の気質的に、珍しいことではないが
彼はここ数日見せた柔らかな笑みに
その瞳の優しげな、まるで愛おしむ様な無形の温もりを添えていた。
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優波 - お話とても素敵です！続き楽しみにしています。更新頑張ってください！ (12月26日 0時) (
レス) @page31 id: bb04c2cc27 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - 蜜柑さん» 先の見通しを立たせるのに時間を要し、お返事も先延ばしにしていてすみませんでした……。また少しづつ書いていけたら、と思っていますのでお暇な時にでも覗いていって下さったら幸いです。 (2022年4月25日 14時) (レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - お稲荷さん» お時間をいただく返事、更新で申し訳ありません。先の展開に少し見通しが経ったのでまた時間がある際に更新していくので宜しければまた覗いていってくださいね (2022年4月25日 14時) (レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - とても面白く一気読みしてしまいました！！次の更新も楽しみに待っています！ (2022年2月27日 11時) (レス) id: 33c0f3033a (このIDを非表示/違反報告)
お稲荷(プロフ) - 設定やストーリーがとても自分好みで、つい何度も読み返してしまうほどのお気に入りの作品です。更新再開を楽しみに待ってます！ (2022年2月11日 11時) (レス) @page14 id: 12617f35c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2021年8月14日 19時
