+２０２+正しい戦いの教授法 ページ7
.
今なら「暇つぶし」の際、恭弥さんが時折見せる不敵な笑みが
老師の期待を隠しきれない口元の緩みがわかる気がする。
隙を、間を作らないように立て続けに振るい
しかしながら槍に意識を取られる、では無く私から目を離すことは無い。
連撃の払い、殴打、突き。
変わり映えした武器を使用しているので当たり前といえば当たり前だが
まぁそこらの不良や一般人には劣ることは無いだろう。
しかし、やはり武器のリーチを活かす動きや
間合いにはいられた時は…うん、おそらく一気に崩される。
私が教えるべき点はそこ、あとは彼女が学んでいく。
これは、あの家庭教師様に人への指南の仕方を教えて頂くべきだったかもしれない。
甘やかし教えすぎてはいけないし、課題ばかりでは捗らない。
この匙加減が難しい。
…ゆえに学校の授業は至極つまらないのだろうけど。
あの欠伸の出そうな授業のような…
そんな具合じゃ彼女簡単に殺されてしまう。誤ってはいけない。
『武器の振るい方…体幹などは悪くないと言えます。ですが…！』
言葉を添え、低い態勢から間合いに入り込み
おもむろに彼女の弱点を付く。
自身より身長が幾分か高い私が自分の下から潜り込み
それに驚いたのか、あるいは私が敢えて発した自信に向けられた殺意に充てられたか。
…そのどちらが正解なのかは知るところではないが
彼女は目を見張り、その細い首筋にひゅっ、と息を詰まらせた。
それは人間の、生き物の防衛本能でありながら
強者も弱者も等しく、逆らうことが難しい「諦め」なのかもしれない。
身を固め、抵抗をする余裕もないのか
私の姿を捉えた瞳は瞼を閉じることも無く微かに揺らいだまま。
ただその武器が僅か数ミリの距離まで、刃を剥き出しのまま添えられる。
彼女は死という明確な終わりの瞬間を受け入れるかのようだった。
『…私が止まらなければ貴女、死んでいましたよ。』
私の声を耳にして、彼女の時間は動きだした。
その喉に詰まった息がハッ…と動きを再開して、彼女はへたり込んだ。
離れたところから、城島犬の小さな感嘆のような感想が聞こえたが
あのやかましかった男を静かにできたのなら、見せた意味はあったかもしれない。
「わた、し…。」
少しずつ状況を認識し始めた彼女は震えた声を紡ぐが
私は彼女の方に手を差し伸べ、厳しくも一言。
『座っている暇はありませんよ。…時間が無い。』
今を知り、なお諦めないと言うなら休んでいる暇などありませんよ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優波 - お話とても素敵です！続き楽しみにしています。更新頑張ってください！ (12月26日 0時) (
レス) @page31 id: bb04c2cc27 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - 蜜柑さん» 先の見通しを立たせるのに時間を要し、お返事も先延ばしにしていてすみませんでした……。また少しづつ書いていけたら、と思っていますのでお暇な時にでも覗いていって下さったら幸いです。 (2022年4月25日 14時) (レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - お稲荷さん» お時間をいただく返事、更新で申し訳ありません。先の展開に少し見通しが経ったのでまた時間がある際に更新していくので宜しければまた覗いていってくださいね (2022年4月25日 14時) (レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - とても面白く一気読みしてしまいました！！次の更新も楽しみに待っています！ (2022年2月27日 11時) (レス) id: 33c0f3033a (このIDを非表示/違反報告)
お稲荷(プロフ) - 設定やストーリーがとても自分好みで、つい何度も読み返してしまうほどのお気に入りの作品です。更新再開を楽しみに待ってます！ (2022年2月11日 11時) (レス) @page14 id: 12617f35c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2021年8月14日 19時
