+１４４+感覚の回復 ページ49
.
視界はだいぶ良好。
音も段々と鮮明になりつつある。
この状態は六道骸がこの体に馴染んでいる証拠なのか
はたまた私が奪われた状態に馴染み、感覚を共有できるようになったのか
まぁ、そもそも肉体に憑りつかれた時の正常な状態…
被憑依体がどういう状態になっていれば良いのかなんて知るわけもないし
もしかしたら、こうなるのが正常なのかもしれないが…
もし、私の精神とやらがこの状態に順応しつつあるのなら…
考えているうちに、ピリッと痛みを感じる。
微かな冷えと痛覚が刺激された。そこには右手がある、はず。
視界がそちらに動かないから見られないが、感覚的に手であってるはず。
痛みは傷口だとして、冷えはきっと血が流れ過ぎているから。
あぁ…そうか、奴は取り憑いた体の痛覚は感じないんだったな。
人の体で好き勝手。しかも痛覚もなしとは腹立たしい。
にしてもコレは視覚、聴覚に続いて
触覚も戻りつつあるということでいいのかな？
視界では向かい合う沢田くんの右の拳を左手が受け止めていた。
受け止めた瞬間、衝撃がクッション越しのように
少し威力を失い、ボヤけたようにだが確かに感じ取れた
やはり、感覚はもう６０％近く戻っている。
これだけ体に自分の意識が戻りつつあるのなら、もしかしたら。
その期待に賭けて、自分の意志で自分の体を使う時…
本来あるべき状態で体を使うように
鉄扇を振りかぶる右手を後ろに払うことをイメージする。
自分に四肢があるという感覚は段々と戻っていた
まだ指先など細かな部分に関しては未だぼんやりとしているが…
それでも、細かな動きをすることは不可能だろうと
腕を六道骸の意志に反する方へ向けたり、大きい動作なら可能かもしれない
最初は真っ暗で何も感じない、まるで夢の中のようだったのに
今では自分の体の感覚は戻り、なぜか勝手に動いている…そんな状態だった
もう何年も夢を見ていない奴が何を言う、と自分自身で思っているが
それでも、期待通りとまではいかないが
突き出していた私の右腕は、クンッと何かに引かれるように一瞬後ろに揺らいだ
その状態に正面の彼の瞳に映った私…六道骸本人は少し目を見開いた。
そして受け止める態勢に入っていた沢田くんも
六道骸の不自然な体の詰まりに驚いた表情を浮かべている
「なぜ…」
六道骸が私の口から零した驚きの声
多少だが、仕返しが出来たことに少し満足している
その思いへの返事は来ないはず、だった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 326人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
睡-ｽｲ-(プロフ) - ますしんさん» ますしん様コメントありがとうございます！そうなんですよね…昔はさほど気にならなかった辺、大人になったからこその損得勘定なのでしょう…大人になんてなるもんじゃないですね…←なるべく濃く書くことを意識するあまり直ぐ話がいっぱいになってしまいますが… (2020年2月6日 15時) (
レス) id: 3400204ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - 確かにその差にツッコミたくなりますよね。お気に入りするんなら評価もできるだろ！って…この作品、内容が濃くて読んでいて楽しいので更新速度低下は悲しいです…それでも見続けるので更新頑張ってください！！ (2020年2月6日 15時) (レス) id: 378183aadc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年1月25日 16時
