+67+視線と心理 ページ20
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side H.G
不良の時と言い、だるま落としの時と言い
その様は一流の殺し屋が暗殺をやってのけ形跡を残さぬよう
一撃で急所を捉えるようだった。
確実に、アイツの中には
何を経て、アイツがそれ程の才を手に入れたのか
マフィアや殺し屋…そんなものとほぼ無縁の
何をどうしたらそこまでの領域に達するのだろうか?
不可解と興味は深まるばかり
春先からアイツの明らかになっていない部分が多いことに目をつけ
アイツの行動の一つ一つに猜疑心を覚えていた俺は観察・監視を続けた。
だがアイツの表情なども要因となり、進展しない。
今でも俺にとってアイツはグレーな存在であることは間違いない。
それでも、アイツを俺らの輪の中に…十代目の傍に引き込もうとする
リボーンさんの気持ちは前より分からなく無い。
ヒバリもアイツも気に食わねぇが、戦闘の才能が確かにある。
右腕として前を譲る気はサラサラねぇが、才能は認めざるを得ない。
今も…、あぁ、そういえば。
いつもの癖になりつつあるのか
俺はあの状況でもアイツの『目』を観察していた。
成果と言えるかはよく分からないが、あの時…
不良がアイツに手を伸ばし、アイツがその手を叩き払う瞬間まで
その短い時間だけ、アイツの目は何かに怯えたように揺らいだ
ほんの少しだけだが見開かれた目、瞳は左上を一瞥し数回揺れた
叩き払う瞬間は不良の手を見ないよう、少し下を向いた気がする。
心理学上の話、人が嘘をつく時斜め上を見るという
だが、正確には『斜め上』ではなく『右上』を見るというのが正しい
右上を見つめる時は『未知への思考』を表し
実在した物や出来事への質疑では、嘘の為に思考してると言える
そして、左上を眺めるのは『過去を思い返す』心理
下に視線をズラすのは『恐怖心、警戒心』の表れ
何かで見ただけだ。別に100%信じられる訳じゃないが
あくまで参考に考えるとアイツは不良の手に…?
いや、不良の手の動きを通して『別の何か』に恐怖した?
なんにせよ。
半年以上観察していて、初めて見たアイツの目が感情を帯びた瞬間だった
静かに巳國を取り囲む集まりから一歩離れたところで
誰にも聞かれること無く静かに舌打ちを一つ鳴らす
それはアイツの実力に対してか
はたまたアイツの中の『恐怖の対象』に対してか
その時、アイツがこちらを見たような気がした。
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作者名:睡-スイ- | 作者ホームページ:https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時:2019年9月23日 16時