【REBORN】何が一般的かなんて分からない (ページ17)

今日:7 hit、昨日:14 hit、合計:120,494 hit

+６４+瑠璃紺に染まるページ17

.

握りしめた細長い柄は違和感があり、ダルマの前に歩み寄りつつ
何度も何度も握っては解いて、もう一度握り直してを繰り返していた。

よく扱う武器が鉄扇、もう１つも長物ではないからな…
扱えないことは無いけど…使おうとはしないかな。

基本的に武器を取る時は恭弥さんの「暇つぶし」か並盛の見回り
要は持ち歩きに難があるものは使う機会がそもそも無いのだ

手に馴染ませようと思い、なんとなく鉄槌で
簡易的なバトントワリングのような真似事をしてみる。

私の身長より少し長いそれを頭上で回してみたり。

ヒュンヒュンと風を切る音が耳に心地よくて少し癖になりそう

一通り遊ぶように扱って満足すると両手でしっかり握りしめる

私が選んだやつは『頭(かしら)』と呼ばれる部分
槌の叩きつける部分が小さめの作りのもの

扱わない武器に関する知識は浅いので
単純に物理の授業の範囲で分かることだが…

「圧力と圧力がかかる面積は反比例する」

要は接地面積が小さい方がその瞬間的な圧力の大きさは大きい。

力も体力も色々足りなくて必死にかき集めた知識で戦う。
それが私がなんとか確立できた戦闘スタイルだから

ヒュォォｯｯ

重量のある「頭」が風を切り裂き、音を鳴らす

左腕を口元を隠すようにピンッと張り、グッと腰を捻る。

全力で振り切ればいけるだろうか？
体を一点も残さず、全身の力で振り抜けば

一点を狙う。重心の偏っているであろう場所…物質の『核』。

そこを鋭く叩きつけるように、殴りつける

鉄槌とコマが接触するとガンッと鈍い音が鳴り
鈍い音に紛れるように微かにだが木の軋む音が私の耳にだけ響く

押し負けそうになった瞬間、負けまいと小さく奥歯を噛み締めた。
そして体の力を込めて腕を前に、前に、と押し出して振り切る

振り抜くと、ワンテンポ遅れたように風を感じた
結んでいなかった髪は突風に乱され視界いっぱいが瑠璃紺に染まる

全身を一振りに預けていたのもあり
コマという抵抗を失った瞬間少し体勢が前のめりに崩れる

誰にも気付かれない心の内で
『あぁ、改めて体幹を鍛え直さないといけないな』なんて思った。

前方には誰もいなかったが、私の手により弾き出されたコマは
河原の土、地面を抉りながら滑っていき次第に失速

肝心のダルマは積み上げられたまま少し斜めったが鎮座していた。