【REBORN】何が一般的かなんて分からない (ページ11)

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+５８+軋む音ページ11

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無駄に冷静に考え込みつつ、真っ直ぐ突き出された拳を見つめる。

鼻先と拳の間が…それこそ男の拳１つ分に迫ったところで
眼前で拍手するように両の掌で挟み込む。

そのまま右手全体の力を増して左側に拳を流す。
同時に右足を半歩前に出して腰を捻ると自然と右の肘が前に出る。

その肘で拳と共に前のめりになった男の顔面に肘を叩き込む。

顔面を狙った男が顔面をやられるなんて滑稽で笑えてくる。
…実際は微塵も笑っちゃいないけど。

反動で後ろによろけながら鼻柱(はなばしら)を抑える
その目はコチラを睨みつけていて強面(こわおもて)が悪化している。

チラリと斜め上の方に視線を移して、やれやれと肩を竦(すく)める
反省の色も全く見えないし、これ以上は無駄だろう。

そろそろ矯正に移ろうか。

冬場ということもあり、長袖×長ズボンに加えてコートも着用している
そのコートの陰に隠れたトップスのポケットに入っている『武器』

仕舞っている状態だとポケットに入るから便利なんだよね。

激昂(げっこう)した男は額に青筋を走らせ、雄叫びのようなものを上げた

そして相手もポケットに忍ばせていたのだろうか？
気が付いたら小型ナイフを片手に握り、単純な動きでかかってくる。

傍の河原から私の名前を叫ぶ声がした。

それを聞きながらも、目の前の男を俯瞰したような目で
ボーッと見つめたまま、手元だけ素早く行動する。

ポケットを掠めるように、中をまさぐり
中に収めていた武器を手に取ると半身を引きつつ武器を背後で振るう

その勢いのまま、武器は臨戦状態に。

まぁ、単純に伸縮性の警棒なんだけどね。

節の部分が『カチッ』と固定される。
ポケットに収まってたサイズから一気に２０インチ程の長さに。

警棒の先端はそのまま寸分の狂いなく、手首を捉え、骨を軋ませる

橈骨。親指側にある大きな手首の骨。

私の耳に響く骨の軋む音。…普通聞こえないものだけどね。

それが耳に届くと振り切る前に警棒の動きを止める。
カランッと音を立ててナイフは土手を形成するコンクリートに落下

男は断末魔に近い絶叫を短く上げると、その場で膝から崩れ落ちる

一般的には見慣れない光景なのだろうけれど
恭弥さんと共に過している私からしたら何度も見たような
むしろ、どいつもこいつも同じ人間のように見えてくる

結局私や恭弥さんと比べた時の不等号の向きは
きっと永遠と称せる位、変わることは無い。