【REBORN】何が一般的かなんて分からない (ページ34)

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+８１+浴衣ページ34

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茹だるような暑さの中、町内の見回りにも飽きてきた頃
学校がある期間の平日よりも矯正対象が増えているのを感じていた

揃いも揃って夏休みだからって羽目を外し過ぎなんじゃない？

呆れ果てていた８月半ば、夏休みが残り僅かとなり
毎日のように外で見かけていた人達がパタリと見えなくなる。

…おおよそ、存在を忘れかけていた
宿題という現実と向き合い始めたのだろう。

前は全くと言っていいほど誰も彼も同じような顔に見えていたし
その辺の電柱と同じように各々の個性や特徴なんて把握していなかった

そんな自分が興味もない人間の顔を認知していた事に驚きだが。

とにかく、今夜の夏祭りさえ過ぎてしまえば幾らか落ち着くはず
まずは目の前の仕事を片すことを目標にしよう。

それに伴い、考えなくてはならないのが
先週夏祭りを行った近隣の町内では売上の盗難被害があったという情報

それが今回の並盛神社の夏祭りでも起こりうるということだ。

しかも、このような犯行は近辺ではちょくちょくあるらしく
今年が初めて、という訳では無いらしい。

まぁ、並盛では初めてになるかもしれないな
当然…とも言えるか、恭弥さんがそんな輩を放っておくはずもない。

隣町からの情報を得て、今現在追跡中というのが現状。

『あの…先程からあちらに飾られてる浴衣、なんですか？』

居間にて恭弥さんと共に資料の整理を手伝っているのだが
視界の端には相当な値が付きそうな美しい浴衣が置かれている。

…昨日まではなかった。

さっきまで見えていないフリをしていたが
流石になんの説明もなく、片付ける様子もなく置かれては気になる。

痺れを切らして、目の前の恭弥さんに問いかけたら
机に向けていた視線を持ち上げ、私を一瞥してから浴衣に視線を投げる

「あぁ、それ。今日キミに着てもらうから。」

さも当然のように聞いてもいない話が浮上。

ポカン、と置いてけぼりの私を放置したまま
「キミなら自分で着れるでしょ」と言いながら視線を机に戻す

『え、あの…。
着付けはまぁ、大丈夫そうですけど動きにくいですよねアレ。』

「別にキミが手を降す必要は無い、キミは犯人グループを見つければいい」

そのあとは僕がやるからね。と言い笑みを深める

つまるところ私は撒き餌であり、役目は雑魚(・)を集めることか。
溜息を吐きたくもなるが彼の指示なら従う他ない

…仕方ない。鉄扇は置いて
下に７分丈程度の長さレギンスを履くとしよう。