【REBORN】何が一般的かなんて分からない (ページ30)

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+７７+顔を見てページ30

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ひんやりと少し冷えたそれは私の頬の微かな熱に波及され
じんわりと冷気を逃がしていく。
…おかげさまで私の頬が少し冷えたが。

肝心の「それ」というのが目の前の人物の手だから
私はどう対処したら良いのか分からなくなる。

見知らぬ人間、関心のない人間にコレをされたら
下から相手の両手の間に自分の手を入れこみ、割るように外側に払っていた

が、彼は知人と呼べるくらいにはかかわっている上
天然、と周囲に言われる彼でも無意味にこんな行動に出るとは思えず
意味がある行動なら私がそれを邪魔立てする理由も見つからず…

結局受動的に彼の次の行動を待つ他なかった。

不可解な彼の行動に対する動揺はパチパチと数度の瞬きとして表に出る
……本当に不可解すぎる、なんなんだ、この間は

間、と呼ぶには数秒単位と短い時間なんだろうが
動揺した状態の私からしたら何分もこの状態であるような気すらしてきた。

「お前さ…」

山本くんは前触れもなく、ふと口を開いた。

いつもの陽気な声音と違い、すごく落ち着いた声
口を開くとともに細められた彼の眼は真っ直ぐすぎて、射抜かれそう。

普段と違う雰囲気をまとう彼に思わずたじろぐ
そういったのは表に出したくないが、少しばかり肩が揺れる

「そういうのはさ、ちゃんと顔見て言えよ」

『か、顔？』

短いたった一言を発しただけ、にもかかわらず少し声が揺れた。
聞かされた言葉の意味がよく分からなかった

顔を見て言え？それで何の意味が？

天然ゆえなのか、根本的に生き方が違うからなのか分からないが
彼には分かる、顔を見て言うことによる効果が私には思いつかなかった。

動揺と不可解で困惑を極めていた時

「ほれ」

『ん、！？』

多くの時間を野球に捧げたボールやバットを握り
キレイ、というよりはマメが出来ていたり努力とかを感じるような大きな手が
両頬に添えられた状態のまま私の頬を摘まんで口角を上げるように動く

「巳國はさ、表に出さねぇけどちゃんと好きも嫌いもあんだろ？
ただ単純にそれが人より表に出ないってだけでさ。

なんとなーくだけどさ、ちゃんとそういうのがあるのは分かってっから
嫌なら嫌って言っていいんだ
代わりに、って言ったら変だけどちゃんと顔見せて言ってくれよ。

さすがに顔見ないでじゃ気持ちとか全然伝わってこねぇしさ。な？」

言い切った彼は先ほどと打って変わり
周囲を落ち着けてしまう、いつもの穏やかで爽やかな笑顔を浮かべていた