【REBORN】何が一般的かなんて分からない (ページ28)

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+７５+可哀想なページ28

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先程「仲間」というものについて自論…
経験を語った時と同じように彼の目は真剣味を帯びる。

彼は本当に……。
二面性というか…切り替えについていけなくなる時がある。

彼の性格などから考えれば虚言を吐くことはないと思っている。
つまり、彼は本当に詳細を聞いた訳ではなく
ある人物に言われた抽象的な忠告に沿い、気にかけてくれただけ。

『その忠告は、お父さんからですね。』

尋ねるというには疑問符のついていないような物言い
対して山本くんも「あぁ、」と短く肯定した。

推測通り、情報源はきっと山本くんのお父さんだったわけだ。

まぁ、内心『だろうな』くらいに思っている。

並盛の町で唯一と言えるくらい物騒な事件だったわけだし
印象に残るのは全然不思議なことではない。

今の私と同い年の人ら〜小学生などの子供世代は知らないだろう。
当時のニュースを見たとしても覚えていないだろう。
あの事件はこの辺りに住まう親世代は印象的だったのではないか。

きっと、恭弥さんの様々な面で効力を発揮する影響力が無ければ
様々な「大人」たちは私を好奇の目で見たり、哀れんだりしたことだろう

実際、初期は近所の人達や事件前友人としていた人の親御さんは
私を見かける度に「大丈夫？」「可哀想」という言葉を口々に言っていた。

恥ずかしくて、後ろ指を刺されているような気分になって
その人たちの大半はそんな意味を込めていない
ただただ思ったことを率直に、愚直に口にしただけだろう。

が、私はそれらの言葉がどうにも嫌だった

それらを廃するように一蹴したのが恭弥さん
彼の存在は大人すらも黙らせた。

それでも流石に人々の記憶を抹消できる訳もなく
時折、大人からの視線に何かしらの意味を込められているのを感じる

結局、事件の存在を知っている人間は
「あの事件の、あの巳國」として私を見るんだろう

山本くんのお父さんも例外ではなかった。

…それでも、彼の父親だ。
きっと善意のみで、彼にそのような忠告をしたんだろうな。

『…山本くんのお父さんはいい人、なんでしょうね。』

彼に言う、というよりは呟いた言葉
彼の耳に届いて反応し、何かを言おうと口を開く。その前に

『お父さんにお伝えください。もう平気だと。』

本音は『もう忘れて下さい』と、言いたい

私が忘れるために全ての人に忘れて欲しいと、思ってしまう
忘れて楽になろうだなんて、狡いとは思ってる。

ただ、「あの巳國」であることが凄く、物凄く疲れる