+1+根暗のクラ子さん ページ2
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一年生のあるクラス。
教室の隅っこで長い髪をカーテンのように垂れ流して本を読む女子が居た。
彼女の本名はたぶん、クラスの大半…九割以上が覚えていない。
会話に参加しているところを見たことがある人はたぶん、ゼロ。
彼女を指す言葉でクラスメイトが使うのは「クラ子」という呼び名。
「根暗」という言葉から来ているらしい。
悪意や嘲りが入った呼び名。
話したこともないのに何故悪意が向けられるのか。
いや悪意を向けているのは一部の人で
残る人達は「皆がそう呼ぶから。」程度なのだろう。
悪意を抱かれるのは根暗な癖に授業は眠りこけ、でもテストは上位に君臨。
先生たちからも反感は受けがちだが勉学が出来ない訳では無い
成績の評価基準は「意欲:実力=1:1」であるため平均をキープする。
そういうところが鼻につく、ということだろう。
対して、クラス屈指の失敗率を確立し「ダメツナ」というあだ名を与えられた男の子
本日の噂の中心人物だった。
噂というのも朝から学校のマドンナ「笹川京子」にほぼ全裸という
異例を通り越して非常識な格好で告白をしたという話が広がっていたのだった。
そして今も、それを理由にクラスメイトに捲し立てられている。
そのまま剣道部に絡まれ、勝負することになったらしく体育館にて相手が待っている。
クラスメイトたちも、なんだなんだと勝負を見に体育館へ駆け出していく。
やはり、クラスに残ったのは「クラ子さん」だけ。
パタンと、読み込んでいた本を閉じると瑠璃色の瞳を一度伏せた。
扉の方に顔を向けて再度開いた瞳は何を見つめているか分からない虚空。
長ったらしい髪を耳にかけながらポツリとある人物の名前を唱えた。
「沢田、綱吉くん…。」
死んだような瞳が一瞬揺らいだ。
「まぁ、どうでもいいか。」
しかし彼女は席から立つことはせず、また本を眺め、本の世界に入り始めた。
それを、小さい影は眺めていた。
「…巳國 Aか。」
クラ子さんの本名を呟いた影は口元を緩めニッと笑みを浮かべた。
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おまんじゅう(プロフ) - 楽しく読ませてもらっております!いやはや、面白いですね!...イラストがブルーベルに見えてしまった... (2020年4月14日 14時) (レス) id: f0c0a1b934 (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ-(プロフ) - 黒雪 長谷部信者さん» わざわざありがとうございます…!ゆったりとですが更新していきますのでよろしくお願いします! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 1576287cc8 (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ-(プロフ) - さーちゃんさん» ありがとうございます、同じ夏生まれなんですね!ゆるゆるとですが更新していきますのでよろしくお願いします (2019年8月17日 21時) (レス) id: 1576287cc8 (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ-(プロフ) - ぱるさん» 嬉しいです。楽しんでいただけるよう、私自身も満足いくように更新していきます! (2019年8月17日 21時) (レス) id: 1576287cc8 (このIDを非表示/違反報告)
黒雪 長谷部信者(プロフ) - お誕生日おめでとうございます!これからも楽しみにさせていただきます。更新頑張って下さい<(_ _)> (2019年8月17日 21時) (レス) id: 64abb0ccf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睡-スイ- | 作者ホームページ:https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時:2019年7月8日 17時