11 ページ11
水で傷口を洗い終わり、ダイニングへ向かうと
ティナリはもう消毒の準備をしていた
私はティナリが座っている椅子の目の前に座るった
「足、出して」
そう言ってきたティナリに足を差し出すと
傷の処置を慣れた手つきで行っていった
さすがティナリだ
「はい、これでいいよ」
「ん、ありがとう…」
お礼を言ってそそくさと自室へ帰ろうと立ち上がると
それを阻むようにぱっと腕を掴まれた
「A、まだ話は終わってないよね？」
「…はい……」
座って、と再び同じ椅子へ座るように促してきたティナリ
渋々戻って椅子に座り直すと私の腕を解放した
顔を見ると先ほどの傷の処置をしていたティナリの顔ではなく、お怒りモードのティナリの顔に戻っていた
ほんとうに、死域よりも怖い
「…で、なにしてたの？」
「……怒らない？」
おそるおそる聞いていみると
「怒らないとでも思った？」
と、険しい顔で当たり前の返答が返ってきた
きっとおおよその答えをわかっているのだろう
うっ、と小さく声を漏らし、深呼吸をしてから私は硬く結んでいた口をゆっくり開いた
「……死域の駆除に…行ってました…」
そう小さく答えると、「…はぁ……やっぱりか…」と言いながらティナリは額に手を当てた
「僕は行くなって言ったよね」
「…うん」
声色がどんどん怖くなるティナリ
危ないだろとか、いつもよりも疲れてるんだから、とか
いろいろなことを私に話している
そんなティナリの言葉を聞きながらも
私はむっとしていた
だって
「ティナリだって………
ティナリだって疲れてるもん…！だから私がティナリの疲労が蓄積される前に私が少しでもやることを解消してあげようと思ったんだもん！
ティナリのこれ以上疲れた姿なんて、私見たくないよ…っ」
ティナリの言葉が途切れるのを待って
私は一気に言葉を続けた
話している時に涙がぽろぽろ数滴こぼれた気がした
「A……」
私の言葉を聞いて驚いたような顔をしたのも束の間
ティナリはすぐに困ったような表情に代わり、怒っているときと違っていて少し申し訳なさそうだった
「ティナリの仕事ばか！！」
「A！」
そう言って私は勢いよく立ち上がりティナリの顔なんて見ずに自室に戻った
私の名前を呼んだティナリの声なんて聞く耳が持てなかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風鯨(プロフ) - 甘雨ちゃんの財布さん» ありがとうございますすすっっ！！告白嬉しいですっ！wこれからも、甘雨ちゃんの財布さんに好きですって告白されるような良い物語の展開が作れるように頑張ります…！ (5月8日 21時) (
レス) id: ee6a2f1bbe (このIDを非表示/違反報告)
甘雨ちゃんの財布 - 好きです。(告白) (5月7日 21時) (レス) @page34 id: bf3dd9c151 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風鯨 | 作成日時：2023年3月27日 19時
