検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:41,732 hit

24話 ページ25

『お名前、ありますか?』
《強いてあげるなら、匣の名としてつけられた「ルーポ・ディ・ヌーボラ」だろうが…名前だと思ったことはない。》

ルーポ・ディ・ヌーボラ。雲狼という意味だ。たしかにこれは言わば生態名で、個体の名前ではない。

『明日までに素敵な名前を考えます。』
《主からもらった名前なら、どんなものでも大事にしよう。》

雲狼は大きな尻尾をふぁさふぁさと揺らして答えた。尻尾に灯る紫の炎が美しく弧を描いて煌めく。それから名前は雲狼を匣に戻そうとしたのだが。

「さっき、加減しないで大量に炎を入れただろう?匣兵器は基本、炎が尽きるまで匣に戻らないからね。しばらくはこのままさ。」

炎が尽きかけたら追加で匣に注入すればいい、とは学んだ。それは裏を返せば、炎が尽きるまでは戻らないという意味にもなる。どの道名前はまだ炎量のコントロールが出来ないため、知っていても同じ結果になっただろう。

仕方がないので、外見の匣を持ったまま雲狼を連れて談話室に向かうことになった。足を踏み出したその時、名前の体が一瞬ぐらりと揺れた。ベルとマーモンは先を歩いているため気づいていない。
斜め後ろを付き従うように歩いていた雲狼は、名前の前へ回り込むと、さきほどよりも身を低くしてしゃがんだ。

《自分の背に乗るといい。この男たちの後ろをついて行けばいいのだろう?》

名前は迷ったが、談話室までの短い距離だけ、と決めて雲狼に乗った。ふわふわした毛が心地よく足に当たる。雲狼は極力体が揺れないように気を使いながら進んでくれた。

「名前くらいの身長なら、狼に乗れるんだね。」

しばらくして後ろを振り返ったマーモンが、雲狼に乗る名前を見て淡々と感想を述べた。ベルもその声で後ろを向き、どこぞのジ○リみたいだな、と笑った。

談話室に着く頃にはもう22時を過ぎていた。入隊試験にリングに匣兵器、全て1日の出来事だ。当然夜も更ける。

「あーー、王子はらへり…。」

ベルはグーっと伸びをしながら昨日の夜と同じ席に座った。スクアーロの姿がなかったところを見ると、XANXUSを呼びに行ったのかもしれない。少し離れたところからルッスーリアのご機嫌な鼻歌が聞こえてくる。晩ご飯がもうそろそろ出来上がるのだろう。

そうやって一通り中の様子を見回して、名前は雲狼から降りた。そして、お礼を伝えようとしたところで…意識を手放し倒れ込んだ。

25話→←23話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
設定タグ:リボーン , ヴァリアー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - Twitterフォローさせていただきました。よろしくお願いいたします。 (2022年6月14日 8時) (レス) id: 6425fa7392 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - こちらこそ、親切に教えてくださってありがとうございます!! (2022年4月16日 0時) (レス) id: 069036dd65 (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» わざわざ数ある中から探していただいて、ありがとうございます…! (2022年4月16日 0時) (レス) @page2 id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - 了解致しました!先程フォローさせていただきました!よろしくお願い致します(*´`)♡ (2022年4月14日 14時) (レス) id: 39298dc62b (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» 作品名も一緒にユーザー名に書いてありますので、かなり分かりやすいかと思います…! (2022年4月14日 1時) (レス) id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:巫女月 | 作成日時:2020年12月23日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。