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23話 ページ24

「他の子…?」
「名前って匣と話せんの?」

マーモンもベルも、さすがにこれは理解できなかったようで。匣から出したわけでも、触ってみたわけでもないのに、なぜ自分が嫌われていると分かるのか。名前は言葉を選びながら、2人にわけを話した。

『この箱の中から声が聞こえたんです。』
「匣アニマルと意思疎通ができている…ってレベルじゃないね。」

マーモンはいささか信じられない物を見たような声でそう言った。名前が言うには、1番左の匣は殺意むき出し、右から2番目の匣は我が強く、1番右の匣は話す気すらないらしい。

『この子だけ、自分を選んでほしいって言ってきたので…。』
「ししっ、じゃあその匣で決まりだな!」

ベルは自分の匣兵器に嵐の炎を注ぎ込むと嵐ミンクを出し、「こんな感じ」と手本を見せてくれた。名前も見よう見まねでリングを匣に当ててみる。

ガシュッ、と音を立てて開いた匣からは、名前の半身くらいある大きな狼が飛び出した。

「…でかくね?」
「でかいね。」

マーモンに至っては1口で食べられそうなサイズ。その狼は名前の顔をじっと見ると、静かにしゃがんだ。まるでお辞儀をしているみたいだ。

《感謝する。自分を選んでくれたことを。》

名前の耳に、この狼のものと思わしき声が響く。ベルとマーモンには聞こえていないらしい。名前は一瞬、この子は字が読めるだろうかと考え、読めなかったら別の手段をとろう、とペンを動かした。

『感謝するのは私の方です。私に答えてくれてありがとうございます。』
《敬語は本来自分が使うべき立場。あなたは自分の主なのだから、自分に対してかしこまる必要はない。》

そう言われても、敬語以外の話し方なんてとうの昔に忘れてしまった。おどおどする名前の様子を見た狼は、ふぅ…と息を吐いて《主の好きにされるが良い》と言った。

「ほんとに会話してるし…。」

ベルは名前が紙に書いて狼に見せているそのやり取りに、感心していた。そして思い出したように名前に言った。

「名前決めてやんねーとな!王子のはミンクって言うんだぜ。」
「僕のは匣兵器じゃないけど、ファンタズマって名前があるよ。」

そう言ってマーモンは、頭に乗っていたカエルを手に持つ。名前はこの狼の名前をどうしようか、自分が決めていいものなのか、元から名前を持っているんじゃないか、色んなことを考えてしまった。

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(プロフ) - Twitterフォローさせていただきました。よろしくお願いいたします。 (2022年6月14日 8時) (レス) id: 6425fa7392 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - こちらこそ、親切に教えてくださってありがとうございます!! (2022年4月16日 0時) (レス) id: 069036dd65 (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» わざわざ数ある中から探していただいて、ありがとうございます…! (2022年4月16日 0時) (レス) @page2 id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - 了解致しました!先程フォローさせていただきました!よろしくお願い致します(*´`)♡ (2022年4月14日 14時) (レス) id: 39298dc62b (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» 作品名も一緒にユーザー名に書いてありますので、かなり分かりやすいかと思います…! (2022年4月14日 1時) (レス) id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:巫女月 | 作成日時:2020年12月23日 2時

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