15話 ページ16
12月某日。本日、例外的なヴァリアー入隊試験が実施される。受験者はたった1人。無造作に伸びた薄い金髪を借り物の髪ゴムで結いた、この年端もいかない少女のためだけに、あのヴァリアーが入隊試験を実施するのだ。
当然、他のヴァリアー隊員は朝からその少女名前に目を向けていた。
「ベルフェゴール様と変わらないくらいじゃないか…。」
「本当にあの子が受験者なのか？」
「筆記はできても、実技戦闘は無理だろう。」
廊下をすれ違う隊員から、口々にそのような訝しむ声があがる。しかし当の本人は、まるでそんな声が耳に入っていないかのごとく廊下を突き進む。そして、ある一室の前で立ち止まり深呼吸をして、ドアの向こうを見据えた。
コンコンコン、としっかりノックをしてから部屋へ入る。中にいるのは、午前の筆記試験を担当するレヴィ・ア・タンだ。
『よろしくお願いします。』
あらかじめそう書いておいた紙をレヴィに見せ、指定された席に着く。
レヴィが、腕時計で開始時間の確認をする。レヴィも名前も喋らない(一方は喋れない)この空間では、腕時計以外に動くものもない。
「…はじめ！」
突如、レヴィから開始の合図が発せられた。それに出遅れず、名前は伏せられた問題用紙を返してシャーペンを手に取る。試験時間60分。どれだけ集中して解けるかがミソとなる。
筆記試験といえど、ここはヴァリアー。問題はそこらの名門大学なんぞより遥かに難しい。しかしそれに臆することなく、名前は凄まじい集中力で問題を解いてゆく。
問題文は全10ヶ国語で書かれていた。ヴァリアーに入隊する条件のひとつとして、7ヶ国語を操れる必要があるが、ここではその条件をクリアしているかどうかもチェックされる。
基本のイタリア語、英語、日本語、フランス語、中国語に加え、ドイツ語やスペイン語、ロシア語、果てはポルトガル語やらベンガル語やらで書かれている。これらは世界で使われている言語の中でもトップ20に全てランクインするくらい、メジャーな言語だ。
レヴィは名前が不正をしていないか目を離さず見張っている。通常、ここまで強面の男に凝視されていたらとても試験に集中できないものだが、名前の目には今、問題文しか映っていない。
「…そこまで！ペンを置け。解答用紙は俺が採点する。」
ついに60分の筆記試験が終わった。名前の顔は、確かな手応えに満足しているようだった。
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夢(プロフ) - Twitterフォローさせていただきました。よろしくお願いいたします。 (2022年6月14日 8時) (
レス) id: 6425fa7392 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - こちらこそ、親切に教えてくださってありがとうございます!! (2022年4月16日 0時) (レス) id: 069036dd65 (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» わざわざ数ある中から探していただいて、ありがとうございます…！ (2022年4月16日 0時) (レス) @page2 id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - 了解致しました！先程フォローさせていただきました！よろしくお願い致します(*´`)♡ (2022年4月14日 14時) (レス) id: 39298dc62b (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» 作品名も一緒にユーザー名に書いてありますので、かなり分かりやすいかと思います…！ (2022年4月14日 1時) (レス) id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：巫女月 | 作成日時：2020年12月23日 2時
