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吸血行為がどのくらい続いていたかわからないけど、ほんの数秒だったようにも感じたし、数十分あったようにも感じた。
涼介くんは、手の甲で口元を拭うと、
“みあの血、やべぇ…美味い”
そう言い放った。
“吸いすぎると、こっちがもたねぇかも“
驚く私をよそにそう呟いて、
“ああ、ごめん…痛かった?信じられないかもしれないけど…俺、ヴァンパイヤの血筋なんだ”
そして…私の首の傷を見てくれて、
色々話してくれた。
その時は眠くて、だるくて、夢と現実の区別がついていなかったけど…
本当なんだ……
「…傷、ほとんど残ってないでしょ?」
背後から掠れた声が聞こえて振り向くと、寝ぼけ眼の涼介くんが上半身だけ起こしてこっちを見ていた。
布団がはだけていて目のやり場に困る。
「…おはよ。うん、痛くもないし…なんだか不思議」
ズルズルと毛布を引きずりながらベッドへ戻り、私も同じように胸まで布団にくるまった。
でも、なんだか気恥ずかしくて涼介くんの顔を見れない。
ええい、もう一回寝てしまえ…
そう思って天井を見たまま目をつぶると、涼介くんが起き上がる気配がした。
…と思ったら、きぬ擦れの音が止まった。
……?……
気になって目を開けると、視界いっぱいに広がる涼介くんの整った顔。
「……っ」
涼介くんは照れたような笑顔を浮かべて、
「…あ、起きてた」
と言ったあと、ゆっくりと唇を重ねた。
「……っっ」
すぐに離れたものの、やっぱり気恥ずかしくて頭が飽和状態に陥る。
「…照れてる。…かーわいい」
「………っ」
すっごく嬉しそうな顔で言うから、きゅんきゅんしてしまう。
……あれ。
「また、瞳の色が……」
特異体質って言ってたけど、またそれなのかな?
「…ああ、また光ってた?」
「うん」
なんの気なしに頷くと、涼介くんはふっと笑って、
「…これはさ、……」
私の耳に口を近づけて言った。
「ヴァンパイヤが獲物に反応してる証拠」
「……っっ」
どくん、と心臓が高鳴り、涼介くんと目が合う。
そう、だったんだ……。
そう思うと瞳から目が離せない。
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みあ(プロフ) - れんこんさん、ありがとうございます! (2018年11月1日 13時) (レス) id: eae51d2417 (このIDを非表示/違反報告)
れんこん(プロフ) - とっても面白いです!これからも更新頑張ってください!応援してます。 (2018年11月1日 11時) (レス) id: 4e7518460b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みあ | 作成日時:2018年10月31日 18時