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「俺にとって姉ちゃんを見捨てるってことは、自分が見捨てられる事と同じなんだよ。だから耐えられないだけ……。姉ちゃんを見てると、なんか自分を見てるみたいで……」
「なにそれ……私とフレディじゃ全然違うじゃない……全然違うよ!!」
「それは俺の問題なの……俺が姉ちゃんを見捨てられなかったって、それだけのこと」
渦巻く感情をどこに持っていいのか分からなくて、握りしめた拳で彼の胸を叩く。
恨み言を言ってくれた方が楽なのに。
私を責めればいいのに。
なんでこんな時まで、庇うの?
「優しすぎるわ!フレディ、あなた優しすぎだよ!!」
「優しい?あは、ちょっと違う、かな……」
彼は顔を歪めて笑った。
「俺にとって姉ちゃんを見捨てるってことは、自分が見捨てられる事と同じなんだよ。だから耐えられないだけ……。姉ちゃんを見てると、なんか自分を見てるみたいで……」
「なにそれ……私とフレディじゃ全然違うじゃない……全然違うよ!!」
激しく首を振った私を見上げるフレディの目は、不思議な色を帯びている。
「違わないよ……俺らって似てる。中途半端なところとか、さ……」
私には理解できなかった。
フレディが中途半端?
強くて優しいフレディ。
いろんなことを知っていて、何でも一人でこなせる。
そんなはずないのに。
「俺が姉ちゃんを切り捨てるしかないなら……それしか方法がないなら、俺もいつかこの世界から切り捨てられることになる。そんなの……悲しいじゃん。そんな未来を予想しながら生きていくなんて」
掠れた声にふっと力が戻った。
「吐き気がする!」
私の知らないフレディの激しさを、垣間見た気がする。
けれど、すぐに喋り疲れたのか息をついて声を落とした。
「だからいいんだ……たぶんこうなるって分かってたけど、俺、姉ちゃんを助けたこと後悔してない。だから姉ちゃんも……俺に助けられたこと、後悔しないで」
「嫌ッ!!」
私は叫んで、次第に冷えていく体にしがみつく。
「嫌だよ……何でそういうこと言うの!嫌だ、全部、嫌!!」
私を庇ってあなたがいなくなるのも。
一人残されるのも。
何一つできない自分も。
こんな時にさえ、あなたを安心させてあげられるいい子の返事もできないことも。
後悔しないで、なんてずるい。
後悔するに決まってるじゃない。
あなたを助けたかったって思うに決まっているじゃない。
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作者名:蒼(そう) | 作成日時:2023年12月29日 0時