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最終夜 ページ21

目を開けると、また夜が来ていた。

恒例のように自分の部屋、暖かいベッドの中で目覚める。


昨夜あの後、どうやって戻ったんだろう。

そんなことどうだっていい。

だって、もうこれで終わり……。きっと終わり。


「…………」


今服に着替えてベッドに座っていた。

背筋を伸ばし、じっとその時を待っている。


家の中はとっても静か。

誰もいない。お母さんも、アーウィンも。

家の中を捜さなくても、ここにいないことは分かっていた。

誰も動かないから、家の中の空気もぴくりと揺れない。

ひどく感覚が鋭くなって、不思議な高揚感があった。



右手に握ったハンカチの感触は、随分昔に消えていた。

首には、バラのチョーカーがある。

二つとも、私の一部になったみたい。



ボーン。

居間の柱時計が午前零時を知らせた。

わずかに空気が揺れる。

私は迷わず立ち上がった。



物置の扉は開いている。

だけど、戻るつもりはない。

どんな結末が待っていても、ただ前に進むと決めたから。



この地下道も通い慣れた道。

先に続く暗闇に怯える事もない……。


うねりながら先へ続いている。

道はゆっくりと下っていた。


湖の下へと潜っていくのだ。

たまに天井からヒヤリとした雫が降ってきて、私の首筋を濡らしていく。



二人の死人が形作る門の側に、壁にもたれる黒い影があった。

立ち止まって、その影を見つめる。


闇は怖くない。

暗さは私の目を妨げなかった。


そう。

私はしばらく前から、暗闇でモノを認識できるようになっていた。

だからその影が誰なのか、すぐに分かったし警戒する事もない。

影が身を起こした。


「よう、姉ちゃん」
「……こんばんは、フレディ」


挨拶を返す。

走り寄りたかったが、グッと堪えてゆっくり歩み寄った。

フレディは私を迎えると、屈託のない笑顔を見せる。


「あ。パジャマじゃない姉ちゃん、初めて見たー」


笑おうとしたが、うまく笑えなかった。

ちょっと顔が歪んだだけだ。


「無事で良かった」


うんと彼が頷くと、ふと首元に目を止める。


「あ、それ……」
「ありがとう」


私は、首につけたリズのチョーカーに触れた。


「リズのお墓作ってくれたの……フレディでしょ?」
「全部終わったら、ちゃんと埋葬してあげよう。俺、手伝うから」


小さく頷く。

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作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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作者名:蒼(そう) | 作成日時:2023年12月29日 0時

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