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「私、絶対元気になるね。キャンプに行かせてもらえるように頑張る!ご飯もっとたくさん食べるようにするし、お薬もいっぱい飲む!」
「いや、薬はあんまいっぱい飲まない方が……」
「息止める練習もしておくっ。水の中で目を開ける練習も!」
「い、いいってそんなに気張んなくて!それより……あ、あのさ」
「泳ぎ方の本も読んでおくからーーえ?」


おずおずした声に、興奮して溢れ出す言葉を押し留めた。

見ると、なぜかちょっと赤い顔をしている。


「あのさ、オレ、ほんとはーー」


その時、出し抜けにドアがノックされた。

マシューが傍目でわかるほど、ビクッとする。


「A、入りますよ」


ドアを開けたのは、お手伝いさんのアーウィンだった。

片手に、ジュースの入ったグラスを乗せたトレーを持っている。

その後ろから、ケーキを捧げ持ったリズが入ってきた。


「おー待たせー!」
「わあ、蝋燭だ!」


ケーキの上にはいくつもの蝋燭が立っていて、火が灯っている。


「蝋燭を忘れるわけにはいかないわよー。ちゃんと十四ね」


ゆらゆらと火が揺れて、ケーキはベッドサイドのテーブルへと運ばれた。

炎の数を数えようとしたけれど、ふとさっきマシューが何かを言いかけていたのを思い出す。


「マシュー、ごめんね。さっき、何だった?」
「や、別に!なんでもない!」


ズボンのポケットから慌てたように手を出すと、ぶんぶんと首を横に振った。


「なんの話?」


蝋燭の位置を最終調整していたリズが顔を上げる。


「何でもねーって!!」
「何よう、内緒話?」


拗ねたように言う彼女を見て、マシューをフォローした。


「キャンプの話、してくれたの」
「あ、夏の!聞いた?」
「うん、楽しそう」
「そうよー。Aもメンバーに入ってるんだから、夏までに元気にならなきゃダメよ!」
「……うん!」


嬉しくなって勢いよく頷きながら、チラッとアーウィンを見る。

彼は口の端を上げて微笑んでみせると、何も言わずに部屋を出ていった。


あの「にこっ」はいいですよかな?

ダメに決まってるでしょ、かな?


……ううん、大丈夫!

アーウィンが文句言えないくらい、元気になればいいんだもの。


「よしっ。それじゃ、マシュー!カーテン閉めて!」


明るくマシューに指令を飛ばす。


「ええ?」
「いーから、ほらっ。閉めたら、こっち来て座る!」

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作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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作者名:蒼(そう) | 作成日時:2023年11月25日 22時

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