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地下道が続いている。
闇の中、微かにちょろちょろと水の流れる音がした。
じっとりとした空気は冷たく澱んでいて、沼の中にいるような息苦しさを感じる。
道は地の底へ導き、下っていた。
傾斜がきついところもあるし、滑らないようにしなきゃ……。
死人と赤い縄で作られた門が見えた。
全く動かない姿は、時折作り物にも見える。
くぐると、相変わらず何かが腐った臭いと甘い妙な臭いが漂っている。
鼻を押さえていても、甘い腐臭が体に染み込んできた。
進むと中庭へのハシゴがある。
錆びているから、滑らないように気をつけなきゃ。
上り終えると、目の前に開かずの扉がある。
立派なドアだ。
ノブがないから、開けることはできない。
中庭にある噴水から赤い水が噴き出ていた。
今夜は風がなくて空気が澱んでいる。
南の扉を少し開けて、何の物音も聞こえないことを確かめてから回廊の中に入った。
「…………」
東のドアを引いてみる。
「開いてる……」
昨夜、やっぱりここでこのドアを開けたんだ。
間違いない。
じゃあ……、私の顔をしたお化けもやっぱり現実にいたことになる。
「…………」
確かめてみよう。
もう一度お化けを見たあの部屋に行って。
扉をくぐらなきゃ。
狭い廊下は直角に折れて、奥の部屋へと続いている。
廊下は狭く、息苦しさを覚える。
扉をくぐると、昨夜ランプを一つ壊してしまったから部屋の中は薄暗かった。
倒したついたても、そのままになっている。
そのそばには、割れたオイルランプ。
全て昨夜のまま。
足りないのはあの『おばけ』とーー。
「死体が、ない……?」
あの人の体がない。
……誰かが動かした?
ひょっとしてあのおばけが?
でもなんのために?
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作者名:蒼(そう) | 作成日時:2023年11月25日 22時