同棲 × オノデラタイシ ページ6
早く大人になりたい。
なんて思ってた過去の自分に言ってあげたい。
“この世界は理不尽ばっかりだよ”
なんてね。
ベランダの柵に肘を置き、夕焼けに染まる空を見詰める。
もうすぐ日曜日が月曜日にバトンタッチする。
「なに黄昏てんの」
後ろから聞こえた低い声に、前を向いたまま答える。
『あー働きたくないなー。って思ったの』
会社に行けば上司からの理不尽な嫌味に耐えなくてはいけないから。特に女の人からのね。
「Aは偉いよ。ちゃんと頑張ってる。」
優しい声でかけられた優しい言葉に後ろを振り返ると太志は優しい顔をして両腕を広げて、おいで、なんて。
その腕の中に飛び込むと、自分と同じ柔軟剤の香りに包まれた。
『太志と一緒に住んでてよかった』
思ったことを素直に口にすると、太志は小さく笑う。
「いきなりどうしたの?」
『嫌な事あってもすぐに抱きしめてもらえるじゃん。なんか安心する』
なんて言いながら斜め上にある彼を見上げて笑う。
「Aはニコニコ笑ってた方が可愛いよ。
だから俺の隣でずっと笑ってて」
というか可愛いから嫌がらせされるんじゃない?、なんて真剣な顔で言う太志に思わず吹いてしまう。
『…いつもありがと』
「ん?」
『太志がいてくれなかったら耐えられてなかったと思うから。
そういう意味の、いつもありがと、だよ』
素直な気持ちを口に出すのはなんだか照れくさくて、顔に熱が溜まっていくのを感じながらも、太志の目を見て微笑む。
「それはこっちの台詞」
少し顔が赤い太志は、それを隠すかのように、体の間に隙間が無くなるくらい抱きしめてきた。
それに答えるように太志の背中に腕を回す。
『今週いっぱい頑張ったらさ、』
「うん」
『週末、デート連れてって』
「いいけど。どこ行きたいの?」
『それは、太志に任せる』
なにそれ、なんて言いながら笑う大好きな笑顔を見てると幸せな気持ちになる。
太志も同じ気持ちだったら嬉しいな、なんて。
彼のおかげで今週も頑張れそうです。
【同棲 × オノデラタイシ】
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まりる(プロフ) - 石川くんのお話みたいです!女の子の日的なものと、大喧嘩しちゃったりなんだり… (2019年10月28日 19時) (レス) id: b47e72213e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ x他2人 | 作成日時:2019年10月22日 23時