恋の話

【まりるさんﾘｸｴｽﾄ】×ｲｼｶﾜﾕｳｷ ページ11

私が女に生まれて嫌だと思う事。
その断トツ1位は “あの日” がある事。
しかも大事な日に限って被ること。

「なに、機嫌悪いわけ？」

『……｡』

今日は彼氏である祐希が貴重なオフを使って家に遊びに来てくれた。

なのに。

「俺なんかした？
言ってくれなきゃわかんないんだけど。」

女の子の日特有の腹痛がきて、些細なことでイライラしてしまう。

せっかくのオフに被ってしまったことも。
彼は悪くないのに八つ当たりしてしまうことも。

可愛気が無い自分に泣きたくなった。

『別に、なんもない』

絞り出すように素っ気ない声をだす。
刹那、頭上から重たいため息が降ってきた。

「ごめん今日は帰る」

目を逸らして一息で言われた冷たい言葉に目元が熱くなるのを感じた。

『ゆ、うき』

嗚咽を零しながら祐希の服の袖を掴む。
振り返った彼は私の涙を見て目を見開いた。

『ごめん、なさいっ、
祐希に八つ当たりしちゃって、』

俯きながら鼻声混じりに言う。
口を開かない彼に不安になって目線だけ送ってみる。

「＿そういうことね」

祐希は1人で納得したように呟くと、そのまま私を抱きしめた。

「Aが情緒不安定な時って、いつも決まった時なのに。
分かってやれなくてごめんな」

いつもより優しい声にまた涙が溢れた。

『ごめんなさい、ありがとう』

「謝るかお礼するかどっちかにしろよな」

なんて言いながら笑顔を向けてくれるから。

『＿大好き』

呟くように言った言葉に恥ずかしくなって、祐希のお腹に顔を埋める。

「そういうのはなしでしょ、」

顔を真っ赤にして手の甲で顔を隠す彼と目が合う。



「終わったら覚悟しとけよ」



なんて赤い顔のままで言うものだから思わず笑みが零れた。

喧嘩は嫌だけど、こんな祐希が見れるならたまにはいいかも、なんてね。

……お腹痛いのも嫌だけど。

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