milky plate -そらる ページ3
とろりと、まるでもともと液体であるかのように熱を含んで溶けるそれ。
赤いような青いようなそれは、一度型に流し入れて、少しずつ冷やせば、熱を持った赤さなど知らないような青に染まる。
工夫と細工次第では、宇宙のような風合いさえ出せる素材だけど、今はそんな複雑さはお呼びじゃない。
今は、透き通るように透明で、闇を孕む余地のない、眼球のような硝子がいい。だって、人形の眼球だもの。純粋な目をプレゼントしたい。
「また、俺じゃなくてお人形さんにお熱?」
じとりと、耳朶を伝って、鼓膜に絡みつくような声。ちょっと遊んでたからといって、わざわざプライベートルームまで入って来られるのは腑に落ちない。
……自分だって、相方さんとゲームしたりしてるくせに。
「口開けて」
なんなんだろう、この唐突な命令は。その無駄に整った顔面をぶん殴りたくなる。
「口開けろっつってんの。聞こえない?」
一応いうことを聞いておかないと我が身が不安なので、渋々、遺憾の意を表しながら口を開ける。
「ほんと、その顔ぶっさいく」
という言葉とともに開けた口の中に、甘み。このサイズと厚みからしてゴディバのカレだろうか。ただ、ミルクなのはいただけない。
「甘い」
「わざとに決まってるでしょ」
この男、ほんとに性格が悪い。というか、うざい。
「……何したら邪魔しない?」
うーん、そうだなぁ……と口角を上げてニヤつく。やっぱり、思惑どおりだったらしい。いつもこうやって、手のひらの上で踊らされるだけなのが悔しい。
ゆるりと開いた唇に噛みつく。従いたくないなら、言葉を紡ぐ口を塞げばいい。
melt in cup -センラ→←jewelry box -しゅーず
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作者名:硝子体 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/glass_urtk
作成日時:2019年2月2日 9時