Chocolate palette. 【A3！】 (ページ19)

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luv / 三好一成ページ19

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女の子たちから貰ったチョコレート以外に、彼が手に持つのは、昨日臣と一緒に作ったチョコレートである。

世間一般的には、女の子からあげるというのが定番になっているが、そろそろ逆チョコが浸透してもいいのではないか。とある国では、バレンタインの日に、男性が女性に花束をあげるらしい。待っているだけでは、男として名が廃ると感じた彼は意を決して逆チョコをすることにしたのだ。

しかし、お菓子作りをあまりしないため、昨晩臣に泣きついて一緒に作ってもらうように頼んだのは秘密である。

「あれ、見つからない……」

校内のどこを探しても彼女の姿が見つからない。呼び出すのも考えたのだが、サプライズのようにするのが面白そうだ、と彼女を探すことにしたのだ。

彼女が行きそうな場所。頭をぐるぐると回転させて、絞り出した答えは、第二美術室であった。彼女がいつも絵を描く場所は、あの教室しかない。何故そんな場所を見落としていたのか、自分が情けなく思える。

「あ！いた！」
「え、三好くん？どうしたの？」
「めちゃくちゃ探してたんだよ～」
「連絡してくれれば良かったのに、」
「ごめん、ごめん！」

自分の心臓の音が、うるさい。緊張するとこんな感じになるのか、と余計なことを考えられる余裕もあるようだ。言葉が喉で突っかかって、思うように出てこない。一番伝えたい言葉が、何一つ。こちらを不思議そうに見つめる彼女の視線から、逃れたくて目が泳ぐ。

「三好くん？」
「手、出して？」
「はい」
「はいどうぞ、俺からの気持ち。」

可愛らしく包装された小さな箱が彼女の手のひらに。小さなメッセージカードに書かれた言葉は、「I Love you」の文字。

「み、三好くん…」
「Aが好き、こんなバレンタインの日に告白なんて王道にもほどがあるけど……俺と付き合ってください」

風船が萎んでゆくように、小さくしゃがみこむ彼女。彼女と目線を合わせるように、彼もしゃがむ。俯いていてもわかるくらい、彼女の顔は真っ赤になっていて可愛らしいと思った。

「わ、私も三好くんにチョコ用意してたんだけど、三好くんいっぱい貰ってそうだったから……」
「え！俺の分あるの？！ちょーだい！」

側においてあった鞄の中から、出てきたのは可愛らしいハートの箱。今日貰ったどのチョコレートよりも嬉しくて、きゅっと胸が締め付けられた。

「返事、貰える？」
「……はい、」

苦手だったバレンタインが少しだけ好きになった気がする。