▽ ページ16
.
冬特有の匂いといい、風の冷たさといい。
切なくなるのは 、今の心情故なのか 。
もう少しで下校時刻だと言うのに、彼の机には今朝の可愛らしい紙袋が置かれていて。
彼も私と同じで本命さんに渡せていないんだ、嬉しいのか切ないのか気持ちがぐしゃぐしゃだ。
教室の窓から見える日が傾き 、教室に残る人がぽつりぽつりと消えていく。
「 A 」
『 うっ、幸くん! 』
去年同じクラスだった幸くん 、同じクラスじゃないから声をかけられるとは思わなくて驚いた。
それにしても彼の鞄からは包装紙がちらりと見えて、人気だなぁと痛感 。
「 あ 、幸くん! 」
「 椋 、ちゃんと渡せた? 」
「 えっ…と 、まだ … 」
「 渡すまで帰らないからね 、俺は門のところで待ってるから」
うわぁあ 、と膝から崩れ落ちる椋くんとそれを少し鼻で笑う幸くん。
「 ほら 、王子様になりたいんじゃないの? 」
その言葉で椋くんは顔を上げた 。
.
好きな人の恋愛事情は聞きたくなかった 。
ため息がでるのを誤魔化すように鞄に手を入れて
キャンディを取りやすい位置にしていたのを奥へと押し込む。恋心みたいに。
じゃあね 、と手を振って階段を降りていった幸くん。
この流れで私も帰ろうと踏み出したとき 、椋くんが小さく声を出した 。
.
「 ____ Aちゃんのことを 、守りたいです 」
トクン、と音を立てて ぶわりと顔中に熱が広がって
何回もその言葉を頭の中で響いて。
「 僕と 、付き合ってくれませんか 」
____ 僕なんかが調子に乗りすぎました、とすぐに訂正して頭を下げ出す椋くんの頭を背伸びをして撫でる。
恥ずかしくて言えない大好き、を込めて 。
何度も頷いて 、こちらこそお願いしますと声にしたら、嬉しいそうに幸せそうに彼は涙を流しながら笑っていた。
.
( 「 とってもとっても 、大切にします! 」 )
( 「 だから 、僕の手を離さないでくださいね」 )
.
44人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「合作」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Chocolate palette.製作委員会 x他4人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年2月14日 21時