村上鋼 （夢主）が片思い チョコ ページ37
夢主side
今、私は大変気まずい状況下に置かれています。
やばい、これはどうすればいいんだ？
チラッと彼を見ると、感情の読めない表情でこちらを見ている。冷や汗が止まらない。
「あ、あの…」
「…どうした」
「いえ…なんでもないです」
何故この状況になったのだろうか。それは5分前に遡る。
「彩葉ちゃんってさ、鋼くんのこと好きなんだよね？」
「へ…！？い、いきなり何を言うんですか！？」
「今日はバレンタインだよ。なにか作ったの？」
ニヤニヤしながら、聞いてくるこの人は村上先輩の所属している来馬隊のオペレーター、今結花先輩もといこんちゃんである。
「つ、作りました…けど」
「じゃあ早く渡さなきゃだね」
そう言って連れて来られたのは、来馬隊の隊室。そこには村上先輩がいた。
「鋼くん、今1人？」
「ああ…」
タイミングバッチリだね！と言って私を部屋に入れるこんちゃん。
「鋼くんごめんね！私は用事できたからちょっと彩葉ちゃんよろしくね！」
「…ああ」
「えぇ！？」
なんでなんでなんで！？こんちゃんどうして！？
頑張れ！と口パクして出ていくこんちゃん。ど、ど、どうしよう〜〜！！
「とりあえず、ここに座っていてくれ」
「あ、は、はい！」
足がガクガクになっていて、歩いているけどロボットみたいに動いている自覚がある。そして5分後…。
「……」
「……」
き、気まずい…。ど、どうしよう。わ、渡せないよ〜〜！
…いや、せっかくこんちゃんがくれたチャンスなんだから、渡さなければ！
「む、村上先輩！」
「…どうした」
「こ、これ、どうぞ！！！」
「…っあ、ああ。ありがとう」
「じゃ、じゃあ私、戻ります！」
村上先輩が何か言っていたが、今の私には止まって聞く余裕もなく、隊室を飛び出した。
先輩に渡したハート型のチョコ。あなたが好きですと言葉では伝えられないから、せめてチョコで伝えよう。返事はいらない。気づいて貰えなくてもいい。緊張でいっぱいだった私は、無事チョコを渡すことができて、少しの喜びを感じるのだった。
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作者名：ミケ猫 | 作成日時：2021年2月24日 21時
