影浦雅人 両思い マカロン ページ32
影浦雅人side
「…チッ」
「お、どーした、いきなり舌打ちか」
「うるせー。さっきからチクチクと…。一体誰だ？」
「さあ？」
個人戦終わりにバッタリと荒船に会った。隣に並んで歩いても、俺に向けられた刺されるような感覚は止まることを知らない。
「…チッ。うぜー」
イライラが爆発する寸前だった。
「…ッ！？」
いきなり暖かい何かに包まれる感覚になった。コレを俺は知っている。
「まさくん、てつくん！」
「いろ、お前ボーダーにいたのか」
「うん、そうだよ。はいコレ、てつくんのクッキー」
「さんきゅ」
荒船がそいつの頭を撫でると、そいつは嬉しそうに笑う。
「あ、まさくんもこれ！」
「ああ、さんきゅ」
仔犬のようにニコニコとしているそいつを見て思わず抱きしめたくなった。
「お前らどう見たって両思いだろ。さっさと付き合えよ」
「あ゛あ！？」
荒船が俺だけに聞こえるように言った。
「じゃあ俺今からミーティングあるんだよ。いろ、これありがとうな」
「うん、頑張ってね」
荒船がそそくさと帰り2人になった。
「…俺の隊室に来るか？今誰もいねえけど」
「…うん！」
こいつの嬉しいという感情がまた俺を包む。うずうずとした気持ちを無視し、平然を装って隊室に行く。
「まさくん…」
「あ？」
「あの、袋の中身、帰ってから開けてね」
「…ああ、わかった」
さっき、荒船にはクッキーだっつって渡していたのに、なぜ帰ってからなのかすぐに察しが着いた。いろから伝わる暖かいソレがまた俺を包んだ。
「…いろ」
「…ん？」
少し顔を赤くさせたそいつの頭を撫でて言った。
「さんきゅーな」
北添尋、絵馬ユズル 先輩、後輩 マドレーヌ→←辻新之助 両思い マドレーヌ
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作者名：ミケ猫 | 作成日時：2021年2月24日 21時
