木虎藍 後輩 マドレーヌ ページ20
木虎藍side
「あーいーちゃん♪」
「わっ！？…彩葉先輩」
「ふふふっ…こんにちは、藍ちゃん」
「…こんにちは」
ひとつ年上の彩葉先輩。正直に言って、私はこの人が苦手だ。いきなり私の前に現れては、いつもあの人のペースに巻き込まれる。感情はすぐ顔に出すのに、腹の中は何を考えているのか分からないのだ。※実際は何も考えていない。
「藍ちゃん、今日も可愛いね」
「なっ…！か、からかうのはやめてください」
「…別にからかってないんだけどなあ」
そう言われ、ぎゅっと後ろから抱きつかれる。
「な、何するんですか！離れてください！」
「ごめんごめん。藍ちゃんったら反応可愛いんだもん」
「……」
一体何を考えているんだこの人は。やっぱりからかわれて…舐められているのか？※彩葉ちゃんはただ可愛い後輩をめでたいだけです。
「そうだ、忘れるところだった！藍ちゃん、はいコレ！」
「…これは？」
「Happy valentine！だよ！」
「は、発音すごっ…。って、すみません、私用意してないです」
「いいのいいの！藍ちゃんがそれを食べて感想くれたらそれでいいんだよ！」
「…でも、それじゃ私がよくありません。ちゃんとお返しします」
「そう？わかった、待ってるね！…っあ！ごめん、そろそろ行かなきゃっ。じゃあね、藍ちゃん！」
「あ、はい！ありがとうございました、彩葉先輩」
中身マドレーヌだから、後で意味調べてみてねー！バイバーイ！と大きく手を振って去っていた彩葉先輩。……やっぱり嵐のような人である。
「…やっぱり苦手だ」
でも心の中はとても暖かった。
「マドレーヌ…か。後で検索してみよう」
ワクワクしている胸を抑えて、私は嵐山隊の隊室へ向かった。
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作者名：ミケ猫 | 作成日時：2021年2月24日 21時
