当真勇 イトコ マカロン ページ12
当真勇side
ピーンポーン
いろの家のチャイムを鳴らす。今日はバレンタインデーだ。ボーダーでお世話になっている人にお礼がしたいと言うので、迎えに来たのだ。
「あら、おはよう、勇くん。ごめんね、彩葉、まだ起きてなくて…」
「おはよう、おばさん。じゃあ、起こしてくるわ」
「お願いね。今日はお父さんとデートだから、もう行かないといけないの。今日は彩葉のことよろしくね」
相変わらず、いくつになってもこのふたりはラブラブだな。
「ああ、おはよう、勇くん」
朝からご機嫌のおじさん。そんなにおばさんとのデートが嬉しいのか。
「この人、昨日彩葉からバレンタインのチョコを貰って、喜んでるのよ」
コソッとおばさんが教えてくれた。
なるほど、確かにおじさんいろのこと大好きだからな。
いろの部屋へ行って、ドアを叩く。
「おい、いろ、起きてるかー？」
何度か呼ぶが、返事はない。
あいつ、随分ぐっすり眠ってるな。
「入るぞー」
部屋の中に入って、いろを起こす。
「おい、いろ、起きろー」
何度か声をかけると、
「んん、んー？いーくん…？」
しばらく、ぼーっとしていたが、勢いよくばっ！！と起き上がった。
「ごめん、いーくん！すぐ準備するから！」
「焦んな焦んな」
リビングに行って、いろの支度が終わるのを待つ。おじさんとおばさんはデートに行ったようだ。
「よ、よし！終わったよー！」
「じゃあ、行くかー」
いろ準備が終わって、玄関に行く。
「あ、ちょっと待って！」
腕を掴まれて、その場に立ち止まる。
「はい、これ！」
そう言って渡されたのは、可愛くラッピングされていたマカロンだった。
「いーくんはお父さんの次に渡すって決めてたから！」
眩しいくらいの笑顔で言う彼女に、どうしようもない嬉しさが込み上げた。
…こりゃ、ヒロに嫉妬されるな。
もうこの世に居ない友に想いを馳せて、俺はマカロンの入った袋を大事にカバンに入れたのだった。
風間蒼也 カレカノ チョコ→←冬島慎次 先輩 バームクーヘン
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作者名：ミケ猫 | 作成日時：2021年2月24日 21時
