消失へのカウントダウン

# 38日目 ページ18

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t「で、俺らは何で惚気を聞かされてんの？」

『惚気てない、困惑してんの…！』

ふ「あほか、それが惚気や言うとんねん」



うざ、と吐き捨てて眉を顰めたふぁんちゃんこと ふぁんきぃと、その横で呆れたようにため息をつくとわぽんことtowacoさんと、今日は珍しく大阪で飲み会。ご時世的にビニールカーテンを挟んでるけど、二人の言葉のキレは相変わらずだ。


ふ「元々牛沢はAのことに関しては過保護やったやん、それが加速しとるだけやろ」

『加速というか…限界突破しそう』

t「まあそれは、その鳴り止まんスマホを見てるとよーく伝わってくるわ」



牛沢が何かおかしくなった。
そんな一言をLINEで2人に投げかけると、あっという間に会うついでに撮影、ついでにメシ、と流れが決まったのが、ほんの数日前。

撮影する予定もないし別に言う必要もないかなと思ったけど、一応「久々にふぁんちゃんととわぽんと撮影してくるね」っていつものメンバーのところで話しただけなのに。
気をつけてね、早く帰っておいで、なんて当たり障りのない文章の中に、…ズラーっと並ぶ、"不在着信"の文字。



t「それ、煩いからええ加減出たら？」

『これでも今日3回出たよ…』


大きなため息をついて頭を抱えると、きっしょと引きながらもどこか楽しそうにへらへらするふぁんちゃんの足を机の下で蹴ると、暴力女やアホやボケやと小学生レベルの暴言が返されて、うるさいねんととわぽんが顔を顰める、といういつもの流れの傍らでも、私の電話は止まることを知らない。



ふ「もうどっちかしたら？通知切るか、出るか」

『えぇ、どっちもなんか気まずいじゃん』

t「…うっしーをそんなんにしたんは、Aなんやろ？だったらちゃんと向き合って責任取らんと」



私が、牛沢をおかしくした。


声に出してみると、なんだか間抜けな響きだけが宙に残った。





鳴り止んだ電話の音が、再び飲み屋の個室に無駄に大きく響き渡る。咄嗟に私は、__通話ボタンを押した。





『…もしもし』

［…今何してんの］



寝起きの不機嫌な声とはまた違う、低くて少し、…怒った声。何年も一緒に居るけど、牛沢のこんな声聞いたことない。



［__なんでもいいけど、明日そっち行くから］

『へ、？あ、ちょっと、』



突然の宣言とぶつりと切られた電話、きょとんとした目の前の二人と私。


…何だか、風向きが怪しくなってきました。







私が消えるまで、あと62日。







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