# 覚えていたい ページ12
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「大人になったらわかるよ」
そう言って笑った貴方の顔とあの時の甘い感情を、苦い液体で喉の奥に流し込んだ。
___今日も、あの日と同じ。時刻は午前0時少し過ぎ、初夏の心地いい風が吹く夜だった。
高校生だった当時と比べるとずいぶん長くなった髪が、風に靡いて私の右隣に流れる。傷んだ髪が街の灯りに反射してきらりと光る様子が、ベランダに立つ私の隣に誰も居ないことを強調しているみたいだ。
『…、飲めばわかるってこと？』
「そういうこと。飲んでもわかんなかったら教えてやるよ」
揶揄うように私の頭を撫でたうっしーの火照った温もり。今はもうここには無いそれを思い出して、胸が苦しい。
「__大人になったら、教えてあげる」
そう言って笑ったうっしーの顔が、不意に脳内のほとんどを占める。かき消すようにビールを煽っていると、開けっ放しの窓から私と同じシャンプーの匂いがふわりと流れてきた。
「まーだ飲んでんの？ただの酒飲みじゃん」
『キヨがお風呂出るの遅いからやん、もう下位クエスト終わったで』
乾かしたばかりのキヨの髪がふわふわと揺れるのを見ながら嫌味っぽく返事をすると、ありえないと言わんばかりに目を見開いて、じゃあ俺も下位終わらすわとすごすごと部屋に戻っていった。
___ねえうっしー、貴方は確かに私に色んなことを教えてくれたね。
実況者として、1人の人間として、たくさん私を成長させてくれた。たくさん私を可愛がってくれた。
でも、1番私が知りたかったことは、聞きたかった言葉は、最後の最後にしか教えてくれなかったね。
……それでも、ね。
「A、早く部屋入んないと風邪ひくぞー」
"今"、私の隣にいる人なら、教えてくれる気がする。
貴方が私に与えてくれなかった、たった一つのことを。
『___うん、もう戻るね』
だからせめて、思い出だけは綺麗なままで。
酔いから抜け出せないままの顔で、溶けそうなほど優しく笑った貴方の顔も。
今では仕方なく嘘になってしまった、あの約束も。
最後の最後に、貴方が伝えてくれた、その想いも。
私は全部、覚えていたいと思う。
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もか(プロフ) - 更新楽しみにしてました！ありがとうございますm(_ _)m (2021年4月28日 8時) (
レス) id: f8135edeab (このIDを非表示/違反報告)
みんと - 尊死……夢主ちゃんとみんなの出会いのお話めちゃくちゃに刺さりました…！！尊すぎてしんどいです(；▽；) (2021年3月14日 0時) (レス) id: 9b2c0e9200 (このIDを非表示/違反報告)
アピス(プロフ) - やとさん» やとさん、前回に続きコメントありがとうございます！！ゲロ甘を意識して書かせていただいておりますので、そう言って頂けて嬉しいです…相変わらずマイペース更新ですが宜しくお願い致します。 (2021年3月12日 22時) (レス) id: 7d62638449 (このIDを非表示/違反報告)
やと(プロフ) - 続編おめでとうございます、ハニーマスタードに続きこちらのオーロラソースの更新もめちゃめちゃ楽しみにしてます！！！夢主ちゃんに男性陣がみんな優しくてほっこりします………(T_T)（笑） (2021年3月12日 21時) (レス) id: b0fb75ed70 (このIDを非表示/違反報告)
アピス(プロフ) - みんとさん» みんとさん、またまたコメントありがとうございます！もちろん、rtさんのお話も複数仕込み中ですので…またまた楽しみにしていただけたらなと思います！いつもご愛読ありがとうございます^_^ (2021年3月12日 11時) (レス) id: 7d62638449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アピス | 作成日時：2021年3月12日 11時
