Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ6)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)６ページ6

顔を戻すと、今にも泣きそうな向井が
Aを阿部越しに見ていて
少しだけ冷静さを取り戻す。

「康二？ごめんね。話遮っちゃって。
　そんなに康二が気にしなくていいんだよ。
　迷惑かけてごめん。」
「阿部ちゃん…、違う、違うやん。
　違うねん。俺な、」

「向井くん、阿部くん。」

違う違うと言う向井を遮ったのは、Aの声だった。
にっこりと笑って、呼んだ名前は2人分だったが
その視線は明らかに向井だけを見ていて
向井がぐ、と唇を噛んだ。

「休憩中かな？体調には気を付けて頑張ってね。」

すれ違い様、唇を噛んだままの向井が
何か言いたげな視線をAに向けていたが
その唇が開かれることはなく
阿部はただ去っていくAの背を黙って見送っていた。

Aの背が見えなくなる頃。
思い出したように、阿部が向井を見ると
向井は未だ悲しげな顔をしていたが
ようやく開けたコーヒーに口を付けていた。

「なんか、女の人が強いって言われるの、
　分かる気がしたわ。」

阿部が思わずそう言葉を漏らすと
向井はチラリとだけ、阿部に視線をやって
それからすぐに逸らした。

「阿部ちゃんにはそう見えるんやね。」
「え？」
「…ううん、何でもない。そろそろ行こか。」
「あ、うん。コーヒーご馳走さま。」

珍しく先に歩き出した向井の背を追う。
結局、向井が言いたかったことは分からず仕舞いだった。