Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ49)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)４９ページ49

「…泣かせて、ごめんね。
　あの日、ちゃんと、言えなくてごめん。」

そんなAの横にそっと移動して
しゃがんだ阿部の顔がくしゃりと歪んだ。

「何であの夜、一瞬でも、Aさんの言葉に
　仕方ないなって思ったんだろ。
　Aさんが居ない時間なんて
　もう考えられないのに、なんであの夜
　離れられると思ったんだろ。
　馬鹿でごめんね、ほんと、俺、馬鹿で…。」

白い両手で隠された彼女の表情は見えないが
小さく震えている肩が、痛ましくて
抱きしめたくて、でも、
抱きしめる勇気はなくて苦しい。
もどかしい。

あの別れを告げられた夜より
彼女が泣いていることが
彼女を泣かせていることが、ずっとずっと辛い。
こんなに彼女が大切なのに
泣かせることしかできない。
彼女が泣いている理由を
ちゃんと分かってあげられない。

そんな自分が情けなくて
泣いていいわけもないのに、視界が滲む。

何が正解か分からなくて
どうしたら良いか分からなくて
Aの前で泣きたくなくて、眉間に皺が寄る。
ツンと痛む鼻の付け根を抑えて、俯き
感情を逃すように、はっ、と短い息を吐いた。

でも、辛いなら俺のこと忘れていいよ、とは
言えない、言いたくない。
自分の口からは、絶対に。

例えみっともない男だと言われても
それだけは絶対にできない。

「…ふふ、なに、この地獄絵図。」

お互いの吐息の音だけを聞く、
そんな時間を終わらせたのは
Aの涙混じりの笑い声で
弾かれたように阿部が顔を上げた。

目の縁を赤くしたAが
自身の目を指で押さえながら、笑っている。
その姿に、場違いにも胸が高鳴った。

そんな現金な自分がおかしくて
Aが笑ってくれたことが嬉しくて
何も解決はしていないのに、阿部も笑った。

「ごめん、こんなつもりじゃなかった、、
　わけじゃないけど。
　Aさんに会ったら、予想以上に暴走した。」
「多弁ではあったね。」
「ずっと考えてたから、なんて話そうか。
　考えすぎて、溢れたみたい。」
「ずっと考えてくれてたんだ。」
「うん。考えたよ。自分の気持ちも
　Aさんの気持ちも、今までのことも、
　これからのことも。沢山考えた。」

しゃがんだまま、椅子に座るAを見上げる自分を
ピンク頭のあざとい警察は
逮捕案件だと言うだろうか。
逮捕してくれて良いから
目の前のこの人が、絆されてくれないかな、
なんて思う。