Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ48)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)４８ページ48

阿部の顔は、ちゃんと見えなかった。
心臓が、握りつぶされるみたいに痛い。

阿部の声は、落ち着いていて柔らかいのに
Aの頭の心もぐちゃぐちゃに掻き回す。
忘れようと努力していた気持ちを
簡単に呼び起こす。

何か言わなくては、阿部の話を止めなくてはと思うのに言葉が浮かばない。

「ドキドキする頻度は、Aさんが言うみたいに
　低くなったかもしれないけど
　俺はAさんのこと好きだよ。
　今でも、女性として。
　でも、Aさんが言いたいことも
　分かる気がする。
　付き合い始めた頃とは、確かに
　何かちょっと違う気持ちもある。」
「亮平くん、やめて。」

その先に続く言葉へ警鐘を鳴らすように
頭が痛んだ。

それ以上言わないで。
そんなに辛そうな声で。
そんなに真っ直ぐな瞳で。
それ以上は。

「その気持ちが何かは分からないけど。
　でも、一緒に、居たい。
　別れたくない…って言葉は、もう、遅いけど。
　俺は、Aさんと一緒に居たい。これからも。」

こんなに甘くて
残酷な言葉なんて聞きたくなかった。
この優しい人は、なんて残酷なのだろう。
Aが、どんな思いであの決断を下したかも知らないで、
Aが、どんなに阿部のことを好きかを
知らないで、こんなことを言うのだから。

Aは震える息を何とか吐き出して
下ろした瞼に力を込めた。
泣くなと自分に言い聞かせる。

今ここで泣いては
いつかの夜に流した涙も
別れを決めるまでに悩んだ時間も
阿部を傷つけて、別れを告げたあの夜も
きっと、全て無駄になる。

泣くな。
泣くな。
そう思えば思うほど、悲しくて
阿部が自分を思ってくれていることが嬉しくて
頭の中がぐちゃぐちゃになる。

何か反論をと思うのに
ショートしそうな頭は使い物にならなくて
相変わらず息は震えていて
Aは俯いたまま、両手で顔を覆った。

思考を乱す程、高まって荒れて、溢れるこの感情を
言葉にはできない。