Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ41)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)４１ページ41

岩本の車の助手席に乗り込んでからも
阿部は落ち着かなかった。

焦燥感はあるのに、まだどこか現実味も薄い。
あんなに会いたいと願って
何度も何度もAに会ってからのことも
シュミレーションしたのに
実際に今からAに会いに行くことが信じられない。
スマホと窓の外の景色に忙しなく視線を動かしては
呼吸を整える。

「照、どうしよう。Aさん、会ってくれるかな。
　どっから話したらいいかな。
　あ、お土産とか買ってくべき？」
「阿部、落ち着けって。
　康二が何か色々手を回してるみたいだし
　会えるは会えるんじゃない？
　土産は買う時間ないでしょ。」

話す合間に、大阪へ到着してからの行動指示が
向井からメッセージで届いている。
新大阪駅に着いたら、そこで待っているＪｒと
取り敢えず合流すれば良いらしい。

「康二にも、みんなにも
　本当助けてもらってばっかりだな…。」

横を向けば、普段よりほんの少しだけ
その強面に渋さを混ぜた顔の岩本の顔があって
阿部は苦笑した。

「…照、実はまだ納得してなかったりする？」
「納得してるかしてないかで言えば、してない。
　どんな理由があったにせよ、
　Aさんが阿部にしたこと、良くないと思う。
　それでも、阿部ちゃんが向き合おうとしてるのが
　ちょっと釈然としない。」

少しぶっきらぼうな言葉には
岩本の優しさが溢れていた。

「でも、Aさんにも何か事情が
　あったんだろうと思うし
　そこら辺は、阿部とAさんにしか
　分かんないとこなんだって理解してるから
　阿部は気にしなくていいよ。」
「うん。…ありがとね、照。
　いつも本当にありがと。
　今は照に納得してもらえるような回答が
　できなくてごめん。
　でも、ちゃんと答え見つけてくる、つもりだから。」
「阿部は真面目過ぎ。
　そんな気負わなくて良いよ。
　俺が納得するかとかどうでもいいし。
　阿部がちゃんと自分の気持ちの整理ができて
　後悔しないで済むように出来たら
　俺は、俺たちはそれで良いんだから。
　ほら、もう着くから準備して。」

阿部を安心させるように
目がなくなるくらい、くしゃりと岩本が笑って
それから緩やかに車は停車した。

「照、本当ありがと。行ってくるわ。」
「おう。絶対大丈夫だから。気ぃ付けてね。」
「うん。」

コツンと拳を合わせてから、車を出ると
阿部は新幹線の改札へ向かって駆けた。
1秒でも早く、Aの元へ向かうために。