Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ5)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)５ページ5

「阿部ちゃん…、俺。俺な、
　阿部ちゃんには、ちゃんと言わないかんって」

意を決した向井が、真っ直ぐに阿部を見上げて
発した言葉は、廊下から聞こえる女性スタッフの
明るい声に遮られた。

「Aさん、髪切ったんですね～。
　結構バッサリいきましたよね。
　めっちゃ似合ってます！」
「ありがとう。長いこと伸ばしてたから
　気分転換に良いかなって。」
「お洋服も、今日はピンクっぽいし。
　Aさん、グリーン系よく着てるイメージだから、新鮮です。」
「もうすぐ春だから、春らしいのも良いかなって。」

スタッフと楽しそうに話しながら
廊下をゆっくりと歩くAは
まるで別人のように、軽やかで
まさに、早春のようだった。

その姿に、阿部は言葉を失う。

『亮平くんの夢が叶うように、願掛け！』

いつからだったか、悪戯っぽく笑いながら
そう言って伸ばし始めた彼女の髪は
肩に付かない程短くなって、歩く度に柔く揺れていた。

昨日までなら、きっと
可愛いと、ただ素直に言えた言葉を
彼女に伝えられる立場にはなくて
最早、Aの願いの中に
自分は居ないのだと言われたようで
心臓を鷲掴みされたかのような痛みに
阿部はそっとAたちに背を向けた。