Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ39)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)３９ページ39

たこ焼きだアイスだと連れ回されながら
聞いた話を整理すると、仕事で大阪に来る向井に
急遽スケジュールの空きができて
Ｊｒやスタッフと食事会を開催することになったのだとか。
ただし、少し開始時間が遅いため
Aを連れ回していた幼い組の子達は
お小遣いだけ貰ったそうで
その代わりに未だ土地勘のないAを
店まで連れて行く使命を与えられた、とのことで。

この時代、お店の名前さえ教えてもらえれば
お店には1人でも行けただろうが
ただ誘われただけであったら
きっと断りの連絡を入れただろう。
周囲にお祭りのように騒がれて
やんややんやと手を引かれたからこそ
ここまで来たわけで。
ＪｒへAの迎えを頼んだのは
向井の気遣いだったのかもしれない。

目を糸のようにして笑う向井の顔が浮かんで
懐かしさと、温かさに気持ちが凪ぐのが
自分でも分かる。

そしてその後にくる申し訳なさ。
そんな優しい彼に甘えて
辛い思いをさせてしまった。

当然ながら、阿部と別れた翌日以降
向井と顔を合わすこともなく
メッセージで謝ってはいたけれど
辛い思いをさせたことを、
泣かせてしまったことを、できれば今日謝りたい。

「康二くんの名前で予約してるから
　先入っとってってさ。」
「そっか。ここまでエスコートありがとう。
　気をつけて帰ってね。」

何度も何度も振り返っては
手を振って帰っていく子供達を見送り
店の入り口へと繋がっているだろう階段の先を見上げたが
薄暗くてその扉はよく見えなかった。
何人集まるのか分からないが
随分大人びたお店を選んだんだなあ、と
少しの疑問を胸に、Aは階段を上がった。

中に入ると、予想していたよりも店内は広かったものの
食事会と称するものを開催するには
やはり狭いような気がする。
お店ごと貸し切ってしまっているのだろうか。
向井とは古い付き合いだという、
優しい笑顔が印象的な店主に案内された
店の奥にあるひっそりとした個室には
テーブルが1卓に椅子が2脚あるだけで
Aは店主を振り向いた。

「あの、本当にこの席ですか。」
「はい。連絡を貰った時に、
　人数が確定してなかったみたいで。
　人が増えたらあっちのテーブル席に
　移動してもらおうかと。」
「なる、ほど？」
「なので一旦、こちらでお待ちくださいね。」

未だ納得しきれていないものの
そう言われてしまえば反論もできず
大人しく席に座る。