Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)38 ページ38
ざわざわする。
風邪でもひいたかな。
Aは、若草色のトップスの上から
自分の腕を擦りながら身震いをした。
時計を見上げると
もうすぐ18時になろうとしている頃で
デスクの上に積まれた書類と夕焼け空を交互に見て
伸びをした。
今日はもう帰ろう。
たまには残業しない日も良いだろう。
書類を片付けていると
少しだけ開けているドアが勢い良く開けられて
Aが振り返った。
「せんせー!!!
こーじくんからのメッセージ見ましたあ??!」
開けられたドアから数名のJrが入ってくるなり
キラキラとした期待するような目を向けてくる。
Aのデスクの上の書類や、医務室の中を見回している者もいる。
「向井くんのこと?
ごめんね、まだ携帯見てないの。
何かあったの?」
Jrの様子からして悪い連絡ではないだろうが
ポケットから携帯を取り出そうとすると
その腕を掴まれる。
「そうなん?まあ、いっか。あれ?いいんやっけ?
ま、それは行きながら話すとして
取り敢えず行きましょー!」
「え?行く?ちょっと、え?どこに?」
「せんせーの鞄これ?これだけ持ったらいい?」
「取り敢えず書類は引き出しに入れとくね!」
「あ、次の担当の先生、さっき廊下で会ったら
もう出ていいよって言うてた!」
「は?え?待って、なに?!」
Aの困惑と質問を無視して
次から次に、誰かが話しては事を進めていく。
その間にも別の子にぐいぐいと腕を引かれて
Aは強制的に医務室を連れ出されていた。
「せんせー、こっち来て大阪っぽいもん
何か食べた?」
「心斎橋のトルコアイス食べた?」
「鶴橋のチーズハットグは??」
「向井くんのメッセージって何?!?」
それからAがJrの子達に解放されたのは
1時間も後のことだった。
持たされたトルコアイスを食べ終わる頃に
連れてこられたのは、細い階段のあるビルで
階段の始まりの横には小さな看板が出ていた。
どうやら飲食店のようだった。
「向井くんが予約してくれたお店ってここなの?」
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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時:2023年4月2日 9時