Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ35)

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Aがそんな夜を過ごした１週間後。

予定より早く動画の撮影を終えて
久し振りに皆で食事に行くか、と話しながらダラダラしていた
９人の元を訪れたのは、変声期前独特の少し高い声の関西弁の少年たちだった。

「失礼しまーす！！おはようございます、お疲れ様です！！！」

関西独特のイントネーションと、珍しい顔触れに
１番最初に反応したのは向井だった。

「おつかれー！みんなでどうしたん、なんでこっちおるん？」
「康二くーん！！今日、先輩たちの舞台の見学で
　俺たちこっち来させてもらったんです！」

どうやら、関西Ｊｒの子たちのようで、向井もＪｒの子たちも
お互いの姿を認めると嬉しそうに駆け寄ってハグをし合っている。

その光景を微笑ましく思いながら、阿部は見ていた。
その可愛らしい西の子たちから、とんでもない爆弾が落とされるとも知らずに。

「そういえば、康二くん、Aさんって知ってはります？」
「知ってるよ、もちろん～。こっちで俺もお世話になったもん。
　今は大阪に期間限定で行ってるやろ？」

Aの名前に、阿部も含め残り８人が反応して
つい、会話の続きを待つように口を閉ざす。

「そう！でも、Aさん、このまま大阪に残ってくれるかもしれないって！」

羨ましいでしょ、といった風のその口振りは
まさに、姉を独り占めできることを向井に自慢するようなものであった。

ただ、その言葉に衝撃を受けたのは、向井だけではなく、むしろ。

「大阪に残る…？」

そう零した阿部に、自然とその場の全員の視線が向けられた。

「あ、阿部くん、お疲れ様です！
　はいっ、なんか、そんな話が出てるみたいで
　Aさんと一緒に、僕たちもマンションの資料見てたんです。」

向井程面識のない阿部に緊張しているのか、少し上ずった声で１人が返すと
阿部は、信じられないという顔で、口元を片手で覆った。

頭を殴られたような、と小説でよく見かける表現は嘘ではないんだなと
どうでも良いことが頭に浮かんだ。