Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ34)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)３４ページ34

時計の針がいつの間にか２２時を回っていることに気付いて
Aはこめかみを圧しながら、溜息を吐いた。

「帰らなきゃ…。」

減っていないような減ったようなTo Doリストから目を逸らし
ようやく見慣れてきた天井を見上げる。

阿部はもう仕事は終わっただろうか。
それとも、まだ仕事中だろうか。
無理をしていないと良いけれど。

「って、もう関係な…くはないけど
　私が心配することじゃないか。」

気が緩むと、彼の人のことを考えてしまうのは、最早癖に近くて
意識をすり替えるように、自分に言い聞かせるようにそう声に出した。

目を閉じたらそのまま眠ってしまいそうで
Aは気怠い体を何とか椅子から立ち上がらせて
机に広げた書類を揃えて、整理する。

何回か繰り返すと、マンションの情報が載った書類が１番上に出てくる。
それは、今Aが借りているマンスリーマンションではない。

『このまま関西のスタッフになるっていうのも、考えてくれないかな。
　勿論、Aさんの生活とかもあると思うから
　無理にとは言わないけど、もし良かったら。』

それは今日提案された異動の話と一緒に貰った資料で
もし異動を受けるならば、と幾つか参考用に貰った物件資料だった。

このまま大阪に残ることもアリかな、と考えたりもしている。
住んでみれば大阪も良いところで
不慣れな部分は残っているとはいえ、スタッフも良い人ばかり。

東京に戻れば、仕事の関係上、阿部と全く顔を合わせないことは１００％無理で
直接会わない今ですら、これだけ阿部のことを考えてしまうのに
会ってしまったらどうなってしまうだろう。

そして何より、東京には阿部との思い出が残り過ぎている。

物件情報の資料を揃えてファイルに仕舞い
キャビネに仕舞って鍵をかけてから、Aは医務室を後にした。