Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ31)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)３１ページ31

「少し、俺の話聞いてもらってもいい？」
「もちろんやで。」

阿部に圧されてか、向井も姿勢を正して椅子に座り直す。

「ありがと。
　康二が言うこと、照達に色々聞かれてから、俺も考えてたんだ。
　で、結果から言うと、俺はAさんじゃなきゃ嫌だ。
　気付くの遅いよって感じだと思うけど。」

宮舘と話す前も、話してからも何度も考えた。
何度も考えて、何度も同じ結論に辿り着いて
その度、あの夜、Aに別れたくない、と言わなかったことを
一瞬でも諦めたことを、阿部は後悔した。

「また振られるとしても、また別れることになるとしても
　その都度、泣くくらい辛くても、Aさんのこと諦められない。
　辛くても、それでまたAさんに会えるなら
　Aさんと一緒に居れるなら、何回振られても、何回別れてもいい。」
　
じっと自分を見つめる康二の目は
阿部の心を見透かそうと、見極めようとするようでもあり
何かを願い、祈るかのようにも見えた。

「詳しい話を康二から聞くのは、フェアじゃないし
　やっぱり悔しいから、これ以上は聞かないけど。
　きっと、別れた理由って、俺が聞いてる理由だけじゃないんでしょ。」

しかも、恐らく、その理由、原因については
少なくともAは解決不可と判断して
向井も、Aと同じ、もしくはそれに近い判断を下している。

でも。
だから、なんだ。

「元から、すぐにやり直せるとは思ってない。
　勿論、そうできたら最高だけど
　Aさんもああ見えて頑固で、意地っ張りだから。
　だから、またAさんに頷いてもらえるまで
　努力するつもりだし、康二が心配しているその理由も
　ちゃんとAさんから聞いて、解決できるまで、諦めないよ。
　難題を解決するのは、得意だしね。」
「阿部ちゃん……。」

「そのくらい、覚悟は決めたんだけど。
　どうだろ。…やっぱり、無理かな？」
「無理やって言うたら、諦めるん？」
「ううん。それはない。」
「なんやねん、それ。」

ははっ、とようやく向井が笑って、阿部もほっと息を吐いた。
向井は、笑っていているのが良い。