Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ4)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)４ページ4

向井はAと自分が別れたことを、知っているのだ。

そういえば、向井とAは親交があるんだったな、と
ようやく思い出す。

きっかけは、上京したばかりの向井が
まだ東京の空気に慣れない頃
jrとも、先輩ともスタッフとも違う
Aのいる医務室に居心地の良さを覚えて
医務室の常連になったことだったと聞いている。

その時、既に阿部とAは付き合っていて
職員室に居るみたいで落ち着くんだって、と
向井のことをAからよく聞いたものだ。

その時に連絡先の交換をしていて
ちょこちょこ連絡をとっていたことも知っていた。

別れ話のことまで話すくらい
2人の仲が良かったとは思わなかったが。

阿部は苦笑しつつも
大丈夫だと言うように向井に頷いてみせたが
向井は一層悲しそうな顔をしただけだった。

自分もこんなに素直に自分の感情を曝け出せたら
もしかしたら、Aとの関係も変わっていたのかもしれないと
ふとそんな事を考えた。

そうこうしている内に動画の撮影開始時間になり
その日の企画が体を動かす系の企画であったことに
阿部は少なからず感謝した。
体を動かしている間は、Aのことを考えずにいられたし
それは向井も同じのようだった。

「阿部ちゃん、コーヒー買いに行くの付き合ってや。」

撮影終了後、向井に服の裾を引かれて
受けた誘いに阿部は頷いた。
しょんぼりとした向井は
見ているこちらが可哀想になるくらいで
これではどっちが失恋したのか分からない。

自販機に到着するまで、無言だった向井が
ブラックコーヒーを２つ買うと
１つを阿部に差し出した。

「奢ってくれんの？」
「…うん。」
「じゃあお言葉に甘えて、遠慮なく。
　ありがと。」
「うん。阿部ちゃん。あんな。」
「うん？」
「あのな…。阿部ちゃん…。」

向井は自分の分のコーヒーを開けるでなく
手の中で回したり
プルタブをカチカチと鳴らしながら
迷うように視線を左右に揺らして
阿部の名を呼んでは、言い淀んでを繰り返す。

なんて言葉をかけようか悩んでくれているのだろうか。
康二は人一倍気を遣うからな…。
そんな向井に申し訳なさを覚えながら
彼の言葉を待つ。