Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ29)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)２９ページ29

「康二？」
「…阿部ちゃんは変わらんなあと思って。」
「え？何急に。」
「なんでもない！それで？Aさんのことやろ？」
「あ、うん。
　前に俺が康二に怒鳴っちゃったことあったじゃん。
　本当ごめんね。」
「ええって、そんなん。
　俺こそ言えんくて、ごめん。」
「いやいや、康二は悪くないから。
　…それで、あの日、康二、
　大阪行きの件を俺に話すかどうか
　Aさんと話したって言ってたよね。」
「…うん。」
「それって…、なんて言ったらいいかな。
　それって、Aさんから康二に話したの？」
「え？」
「あ、いや。うん、自分でも小さい男だなーって
　分かってるんだけど。なんていうか。
　なんで、康二には話したのかなーっていうか
　康二にだけ話すくらい、そんなにいつ仲良くなったのかなーっていうか。
　ああ、俺かっこ悪いよね、本当。」

あまりの狭量さに、自分でも居たたまれなくなって
両手で前髪をぐしゃぐしゃとかき回すと
呆気にとられたような、向井の声がした。

「阿部ちゃん、もしかして、やきもち焼いてるん？」
「えっ、あーうん、えー、そういうことになるのかな。
　いや、なるよね。うん。…うん、そうだね。
　嫉妬してるのかも。」

それでも素直に認めるのは恥ずかしくて若干語尾を濁しながらも
頷くと、慌てて向井が両手を振る。

「俺とAさん、そういうのちゃうし
　俺、そんな風にAさんのこと見たことないから！！」
「勿論分かってるよ！そこを疑ったことはないよ！
　…でも、康二にだけ、色々話してたのは事実でしょ？
　だから、ちょっと、気になって。」

それに、と阿部が言葉を続ける。

「Aさん、泣いてたって言ってたから
　それも、なんでかなって気になって。」

そこまで言うと、阿部はアルコールを一口飲んで
向井の言葉を待つように口を閉ざした。

黙った阿部の顔を見ながら、向井は黙考する。

Aと居る時の阿部の穏やかな顔、
大阪行きの件を黙っていた事に対して
自分に声を荒げた阿部の顔、
阿部の横で幸せそうに笑うAの顔、
それから、『好きだからつらい』と言って泣いたAの顔が
向井の頭の中に浮かんでいた。