Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ26)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)２６ページ26

キィと、鳴くようにAの座る椅子が音を立てる。

そう言われてしまうと、次の言葉がうまく出ない。
納得いかないのに、何かがおかしいと思うのに
それを、うまく伝えられない。
当の本人の阿部がここにいない事が、本当に辛い。

「…でも…、おかしいやん…。
　好きやのに、別れるん？
　今は、その、疲れてるかもしらんけど
　ちょっと時間置いたら、元気になるかもしらんやん…。」
「向井くん。」
「やって、おかしいもん…。
　阿部ちゃんは？阿部ちゃんの気持ちは？」
「ん…、阿部くんの気持ち、ね。」
「阿部ちゃん、Aさんのことで疲れるとか
　しんどいとか、思ったことないと思う。
　あ、今度Aさんの話してる時の
　阿部ちゃんの写真撮ってきたる！
　それ見たら、Aさんも分かるって！！」
「…向井くん…。」
「やって…何も話さんと、別れるとか、離れるとか
　…絶対、あかんよ。」
「そうだね。分かってるけど、分かってるけど。
　私、亮平くんのこと、まだ好きだから。
　話したら、別れられないと思うんだよね。」
「せやったら！」
「でも、結構、本当つらくて。
　目の下に隈作って、会いに来てくれて
　電話の途中で寝落ち、しちゃって
　次の日、申し訳なさそうに謝る亮平くん見るの、
　好きだから、つらいの。」

天井を向いたまま
顔を両手で覆っているAの頬から
ぱたぱたと涙が落ちていた。

「仕事のことだけ、考えてくれていいよって、おもうの。
　折角、ここまで来たんだから。

　もう、私なんか気にしなくていいから
　ヘトヘトで会いに来てくれなくて、良いよって。
　でもほら、亮平くん、そう言うの無理だから。」

床に落ちていく、Aの涙を
向井はただ見ているしかない。
Aを抱きしめてあげられるのは
阿部しか居ないのに。