Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ23)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)２３ページ23

「えー、Aさん、大阪行ってしまうん？」

医務室に向かう途中、廊下で聞こえた、
AとAの同僚との話し声。
その話が終わったのを見計らって
向井がそう声をかけると、珍しくAの瞳が動揺していた。

「あ、向井くん。うん、そう。
　まあ、暫くの間だし。」
「えー、どんくらいなん？」
「ハッキリとは決まってなくて、
　向こうの体制が整うまでの予定。」
「そっかー…、まあ、仕事やし仕方ないよな。
　でも、阿部ちゃん寂しがってるんやない～？
　期間限定とはいえ、遠距離になるんやし。」

後で阿部ちゃんのこと、慰めたろ。

Aの曇った表情を見るまでは
そんな軽い気持ちで、Aの大阪行きのことを考えていた。

「…阿部ちゃんは、知ってるんよな？このこと。」
「まだ、決まってないことも多いから
　もうちょっと固まってから、言おうと思って。」
「えっ…。でも、行く日は決まってんねやろ。
　どういうこと？ちゃんと言うやんね？」
「言うよ、言う。」
「嘘やん。目ぇ、泳いでるで。
　今日のAさんおかしいよ、どうしたん。
　阿部ちゃんと喧嘩でもしてる？」
「向井くん、ここ廊下だから。
　ね、落ちついて。この話やめよ。」
「あかん、Aさんおかしいもん。
　じゃあ医務室行こ、それか外でもええし。」

ざわざわと、胸騒ぎがして
狼狽しているAの服の裾を引く。

Aの様子はおかしかったし
自分からどう逃げるか、
自分の質問をどうかわすか、
それを考えているのは、明らかだった。

「分かった、分かったから。医務室にしよう。
　だから、手、離して。」

周囲を気にするように、視線を左右に振るAに
ハッとして、彼女の服から手を離すと
医務室へ向かうAの背を追った。