Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ12)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)１２ページ12

「Aさんの気持ちも、これまでのことも何にも考えないで
　ただ単純に阿部ちゃんの気持ち、感情的に
　別れようって言われて、どう感じたのかってことでしょ。瞬発的に。」
「瞬発的に…。」

あの瞬間。
頭が真っ白になった、が１番正しい。
その後はどうだっただろう。
色んな感情が一気に押し寄せてきて
どの感情が１番強かったか、思い出せない。

ただ、別れたくはなかった。
Aのことが好きで、Aから離れるという選択肢は
これまで１度たりともなかったのだから。

「…別れたくなかった、かなあ？」
「Aさんのこと、好きだから？」
「うん。」
「単に、急に言われたショックだったからじゃなくて？」
「え？」
「さっき、めめも言ってたけど。
　阿部ちゃんとAさん、長かったから。
　急に関係終わりにしましょって言われたら
　好きな人じゃなくても悲しいし、辛いし、嫌だって思うんじゃない？」
「………そうだね。でも、正直どっちか、分からない。
　だって、長く一緒に居た人でもあるし、好きな人だから。
　どっちもかも。」

岩本にハッキリとした回答をすることは難しかった。

好きだと思っていたから、一緒に居たのも事実であり
一緒に居たから、更に好きになったことも事実だ。
どちらが欠けても、異なっても、自分とAの関係の
自分にとってのAの存在の定義は違ってしまうだろう。

「じゃあ…、今は？」

少し聞きづらそうな、ばつの悪そうな顔をした目黒と目が合う。

「今？」
「そう。今。なんだかんだ、１ヶ月、経って
　今は、どう思ってる？」
「いま…。」
「Aさんがこっちに居ないこと
　知らなかったってのはちょっと、アレかもだけど
　でも、１ヶ月、阿部ちゃんだけで過ごしてみて
　どうかな、って。」

考えたことがなかった。
考えても仕方がないことだから。

「阿部ちゃんの気持ちを軽く見てるとか、そういうことじゃないけど。
　……意外と、受け入れられてるな、とか、さ。」
「受け入れる…、そうだね。
　そういう意味で言えば、受け入れるしかない、と思ってたから。
　受け入れられてる、のかな。どうだろ。」

自嘲気味な笑いが漏れる。
聞かれること、聞かれること、分からないことだらけだ。
自分の気持ちなのに、何１つ回答できない。