Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A) (ページ1)

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Every day words to give to Sunrise(Ryohei.A)１ページ1

助手席に置いたスマホのアラームが
阿部との別れの時間を告げたのは
彼の家の駐車場を出てからすぐのことだった。

このアラームが
アラームの仕事を最後に果たしたのが
いつだったか、もう思い出せない。

それは2人が成長した証拠かもしれないし
当初お互いがお互いに持っていた熱が
冷めてきた証拠かもしれない。

自宅の駐車場に入ってエンジンを切ると
Aは体中の息を全て吐ききるように
長い長い溜息を吐いた。
ハンドルに両腕を重ねて、頭を置く。

酷く疲れた。
ただ、ホッとしている自分が居ることも確か。

もう疲れた体で会いにきてくれる阿部の姿を見て
罪悪感を覚えなくて良いのだと思うと
ずっとぼんやりと重かった頭が軽くなる気がした。

デビュー決定の少し前から
阿部は多忙を極めていた。

会えば目の下に隈を作っていたり
少しやつれていたり
その髪から艶がなくなっていたり。
電話をすればそのまま寝落ちしてしまうことも
ざらになっていた。

それはデビュー後も同じ、いや、
デビュー後はもっと加速していった。

暇があれば勉強、クイズアプリ
時には、振りの動画を見ている時もあった。

そんな中でも、Aへの連絡を
阿部が欠かすことはなく
寝落ちてしまう度に
急なスケジュールで会えなくなる度に
本当にごめん！と
彼は眉尻を下げて謝ってくれる。

そんな絵に描いたような優しい恋人に
罪悪感を感じるなという方が無理だろう。

だって、好きな人なのだから。

たった１時間の逢瀬のために
Aの家まで来てくれた阿部が
テーブルに広げた本の上に
両腕を枕にして寝てしまっている姿を見たとき。
シャワーを浴びてきたのか、
その少し湿った髪を撫でて、Aは思ったのだ。

会うための往復時間。
会っている時間。
その時間があれば、阿部は休むことが出来る。
少し悪い顔色と、目の下の隈が
少しはマシになるかもしれない。

阿部に言ったこともある。
仕事と体調を優先して欲しい、と。
その時も、阿部は少しだけ眉尻を下げて
優しく笑っていた。

「俺がAさんに会いたいくて来てるだけだから
　気にしないで。」

その言葉を嬉しいと思ったのは事実だが
同時に覚えた、寂寥感と罪悪感は今日まで消えることはなかった。